医療機器とは、私たちの健康と医療の質を向上させるために使用される器具や装置です。これらの機器は診断・治療・予防・監視・緩和など、さまざまな目的で使用されます。医療機器の適切な使い方を知っておくことは、医療従事者だけでなく一般の人にとっても非常に重要なことです。この記事では、医療機器の定義や分類、カテゴリについて詳しく解説します。
目次
医療機器とは何か?
医療機器とは、医療の場で診断・治療・予防・健康管理のために使う装置や器具のことです。これらの医療機器は医療従事者にとって重要で、患者の健康や命を守る役割を果たします。以下では、医療機器の定義について解説していきます。
- 医療機器の定義
医療機器の定義
医療機器の定義は重要で、正確に理解することで医療機器の適切な使用が可能になります。医療機器とは、医療行為に使用される機械・器具・装置・材料、またはソフトウェア等を指します。具体的には、診断・予防・監視・治療、または軽減を目的とした製品です。医療機器は、日本の医薬品医療機器等法(PMD法)に基づいて規定されています。この法に準拠する製品には、安全性や有効性に関する詳細な規定や基準が設けられており、これらを遵守しなければいけません。医薬品医療機器等法に基づく医療機器の定義には、診断機器・治療機器・予防機器があります。たとえば、血圧計・心電計・人工呼吸器・コンタクトレンズ・歯科材料などです。正確な定義や区分を理解することで、医療従事者や一般の人々も正確な情報に基づいて製品を選び、使用することができます。
医療機器の分類
医療機器は使用目的やリスクの大きさに応じて、さまざまな種類に分類されます。この分類は、医療従事者や一般の人が適切に使用するための大切なガイドラインとなっています。以下では、医療機器の分類について解説します。
- 一般医療機器クラスI
- 管理医療機器クラスII
- 高度管理医療機器クラスIII
- 高度管理医療機器クラスIV
一般医療機器クラスI
一般医療機器クラスIは、器具による体への影響やリスクがもっとも低い医療機器のカテゴリです。具体的には、病院や診療所、家庭で日常的に使われる器具や装置が含まれます。一般医療機器クラスIは、使い方が簡単でリスクが非常に低い点が特徴です。医療従事者だけでなく、一般の人も広く使っています。具体例としては、次のようなものがあります。
- ガラス製体温計
- 血圧計
- 救急絆創膏
- 補聴器
これらの医療機器は、日常の健康管理に役立ちます。特別な訓練が不要で、一般的な使い方で安全に使えるように設計されています。
管理医療機器クラスII
管理医療機器クラスIIは、少しリスクがある医療機器のカテゴリです。クラスIと比べるとリスクがありますが、クラスIIIやクラスIVほどではありません。具体例としては、次のようなものがあります。
- 電子体温計
- 電子血圧計
- 家庭用マッサージ器
- 電子内顕微鏡
これらは日常の医療や健康管理でもよく使われ、適切な使用と管理が必要です。管理医療機器クラスIIには「認証制度」があり、認証を受けた製品のみが市場に出ます。認証は第三者機関が製品の安全性や性能を確認する仕組みです。これにより、医療機関や一般家庭でも安全な医療機器を使用できます。
高度管理医療機器クラスIII
高度管理医療機器クラスIIIは高度に管理する必要がある医療機器として分類されます。このクラスの医療機器は、使い方や使う人の技術に大きく依存します。誤った使い方や故障があると、患者に重大なリスクがあるため、厳しい管理が求められます。具体例としては、次のようなものがあります。
- 透析器放射線治療機器
- 人工骨
- 血管用ステント
具体的な例としては、透析器、人工骨、放射線治療機器、血管用ステントなどがあります。これらの機器は、患者の命を守るために非常に重要です。機器が故障したり、誤作動したりすると、人体への影響やリスクが比較的高いと考えられます。日本では、厚生労働省がこれらの機器に対して厳しい審査基準を設けています。実際の医療現場で使うためには、特別な許可が必要です。また、クラスIIIの医療機器を使う医療従事者は、厳しいトレーニングを受け、正しい使い方を理解している必要があります。高度管理医療機器クラスIIIは、患者の安全を守るために高度な技術と厳重な管理が必要です。
高度管理医療機器クラスIV
高度管理医療機器クラスIVは、医療機器の中で最もリスクが高いため、とくに厳格な管理が必要です。このクラスの医療機器は、患者の生命に直結するため高度な専門知識と厳重な操作が求められます。具体例としては、次のようなものがあります。
- 人工心臓弁
- ペースメーカー
- 人工乳房
これらの医療機器は、医療施設や専門の医療従事者だけが使用を許可されることが多いです。クラスIVの医療機器は製造および使用において厳しい基準と規制が設けられていることが特徴です。これにより、患者の安全が確保されます。また、厳格な安全性評価や品質管理をおこない、厚生労働大臣の承認を経て市場に出されます。したがって、クラスIVの医療機器は医療機器の中でもっとも高い信頼性と安全性を持つといえます。
医療機器のカテゴリ
医療機器には様々な種類がありますが、大きく分けて「診断系医療機器」「治療系医療機器」そして「その他医療機器」の3つのカテゴリに分類されます。この分類を理解することで、日常生活や医療の現場での医療機器の利用方法やそのメリットを理解しやすくなるでしょう。以下では、医療機器のカテゴリについて解説していきます。
- 診断系医療機器
- 治療系医療機器
- その他医療機器
診断系医療機器
診断系医療機器は、病気や病状の診断をおこなうための装置やシステムを指します。これらの機器は、医療現場での診断の精度を高め、早期の発見や治療を可能にします。具体的な例は、以下のとおりです。
- CTスキャナー:身体の断層画像を撮影し、細かい部分まで確認します。主に、がんの早期発見や脳の病気の診断に使われます。
- MRI:磁場と電波を使って、身体の詳細な画像を撮影します。脳や脊髄などの神経系の診断に使われます。
- 超音波診断装置:超音波を使って身体の中を見ます。妊娠中の胎児や内臓の診断に使われます。
- 内視鏡:内視鏡を使って身体の中を直接観察し、診断や治療をおこないます。とくに、胃や大腸の病気の早期発見に役立ちます。
診断系医療機器の重要性は非常に高いです。とくに、診断の正確さと速さが患者の治療に大きな影響を与えるため、診断系医療機器の発展は現代医療に不可欠です。
治療系医療機器
治療系医療機器とは、病気やケガの治療に使われる医療機器のことです。これらの機器は、患者の健康を改善し、病気の進行を防ぐために欠かせません。治療系医療機器の具体例としては、以下のようなものがあります。
- 人工呼吸器:呼吸が困難な患者に対し、人工的に呼吸を補助する機器です。重症患者の呼吸を助けるために使われます。
- 透析装置:腎機能が低下した患者のために、体内の老廃物や余分な水分を除去する機器です。慢性腎不全患者には、非常に重要な装置です。
- 心臓ペースメーカー:心臓の正常なリズムを保つために使用される機器です。心臓病患者の心拍を調整し、不整脈の症状を改善します。
これらの治療系医療機器は、病状に応じた適切な使用が求められます。医療機器は患者の命を支える重要なものなので、使用方法やメンテナンスについては医療従事者の指示に従うことが大切です。
その他医療機器
その他医療機器とは、診断や治療に直接関与しないものの、医療現場で重要な役割を果たす機器や器具のことを指します。たとえば、滅菌器は医療器具の一つです。手術器具や注射器などを滅菌し、感染症の拡大を防ぐ役割を果たします。滅菌器はすべての医療現場で必要な機器であり、安全な医療行為の基盤です。また、病院の消耗品を管理する専用のソフトウェアや、医療機関内での物品移動に使われる専用カートも医療機器に含まれます。これらの機器は、医療機関の効率的な運営に欠かせない存在です。このように、治療や診断に直接関わらない医療機器も、多岐にわたる役割を果たしています。
医療機器であることを確認するには?
医療機器を確認するには、まず表示やラベルを確認することが大切です。日本では、医療機器は薬機法に基づいて管理されています。以下では、医療機器であることを確認するためのポイントを紹介します。
- 製品ラベルの確認:医療機器には、薬機法に基づく承認番号や認証番号、許可番号、届出番号のいずれかが表示されている
- 取扱説明書の確認:取扱説明書には、医療機器であることを示す詳細な情報や使用目的、使用方法、注意事項が具体的に記載されている
- 信頼性のある製造業者や販売業者:信頼性のある製造業者や販売業者から購入すること
- 薬事承認情報の確認:高度管理医療機器や管理医療機器は、PMDAのウェブサイトで確認
医療機器であることを確認することは、患者の安全性や有効性を確保するために非常に重要です。正確な情報に基づいて選び、利用することが、健康管理の一環として大切です。
まとめ
医療機器には多くの種類があり、その機能や用途によって分類されます。それぞれが医療現場で重要な役割を果たしています。医療機器の特性や使用方法を理解し、より安全に効果的に使用しましょう。具体的な医療機器の使用方法や最新情報を知りたい人は、専門の情報源や医療専門家の意見を参考にしてください。
監修者 林 紋穂
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