目次
リード文
手軽にタンパク質を補給できるとあって人気のホエイプロテインですが、発がんリスクはあるのでしょうか。本記事ではホエイプロテインの概要および、摂取の注意点や発がんリスクについて解説します。ホエイプロテインが気になる方はぜひ、ご一読ください。
ホエイプロテインとは
ホエイプロテインとは、牛乳由来のホエイと呼ばれる成分からタンパク質を抽出したプロテインです。ヨーグルトの蓋を開けた際、ヨーグルトの上に黄色い上澄み液のようなものが溜まっていることがあります。これがホエイであり、別名「乳清」とも呼ばれています。
ホエイプロテインはアミノ酸スコアが優秀であり、必須アミノ酸をバランス良く含んだ良質なタンパク質です。アミノ酸スコアが高いタンパク質は体内での利用効率も高いとされ、効率的にタンパク質を摂取できます。
さらにホエイプロテインは、液体に溶けやすい性質のためダマになりにくく喉越しも良く、ほかのプロテインと比較しても消化吸収が速やかで飲みやすいです。
ホエイプロテインの特徴
ホエイプロテインの特徴を見ていきましょう。
消化・吸収が早い
プロテインの中でも特に体内への消化吸収が早く、かかる時間は1〜2時間程度とされています。素早く筋肉のダメージにアプローチし、疲労の回復も早めに行われます。
必須アミノ酸をバランス良く含む
必須アミノ酸であるBCAA(筋肉のエネルギー源となるアミノ酸であり、筋肉の合成をサポート)を豊富に含んでおり、筋トレなどにより破壊された筋組織の修復を促す作用があります。
また、前述したとおりアミノ酸スコアが優秀であるため必須アミノ酸をバランス良く含んでいる点も特筆すべきでしょう。
牛乳や水に溶けやすく、味が淡泊
ホエイプロテインは水溶性のタンパク質であるため、水に溶けやすくダマになりにくい点も特徴の一つです。このため、摂取時に牛乳などの水分に溶かす際もスムーズです。また、クセもないため初心者の方でも飲みやすい点も特徴的でしょう。
参考:https://clinic-yokoyama.com/blog/2432-2/
ホエイプロテインに発ガンリスクはある?
ホエイプロテインそのものには、発がんリスクはありません。しかしながら、一部のホエイプロテイン製品に含まれる人工甘味料であるアスパルテームが、発がんリスクに関わっている可能性が指摘されています。
アスパルテームはごく少量で甘味を感じられる食品添加物(砂糖の約200倍甘いとされる)であり、かつ人工的に安く製造できる特徴があります。日本では1980年代に認可が下り、それ以降ゼロカロリーのドリンクなど幅広いドリンクに配合・使用されています。
そのようなアスパルテームですが、2023年7月14日にWHO傘下の国際がん研究機関(IARC)において、アスパルテームには発がん性がある可能性があるとのニュースが公表されました。
IARCは発がん性物質を4段階に分類しており、その中でアスパルテームは下から2番目のグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に分類されています。
メーカーが製造するホエイプロテインの中にはアスパルテームを使用したものもあり、発がん性のリスクを排除できないとされています。
それでも、プロテインの中にアスパルテームが使用される量はごくわずかであり、それがどの程度がんになるリスクが潜んでいるかは明確に分かっていません。今後の研究によって発がんリスクが上昇する可能性もあれば、様々なエビデンスによってリスクが減少することも考えられます。現段階ではあくまで、発がんリスクを排除できない状況です。
一方で、1980年代に当時の厚生省が定めたアスパルテームの一日許容摂取量によると、許容量は人の体重1kgあたり40mg程度とされ、アスパルテーム入りのドリンク10本分程度です。毎日ドリンクを10本も飲み続けていたら体にとって害となる可能性がありますが、そもそも毎日10本も飲み続けられる人はあまりいないでしょう。
プロテインの摂取で考えてみても、一日2~3杯程度が許容量とされており、これほど多量のプロテインを摂取することは基本的にないと思われます。通常で考えられる量を摂取していれば許容量を超えることはないといえるでしょう。
どのようなものでも過剰摂取は健康を害する可能性があります。常識の範囲内で摂取するよう心がけてください。
参考:https://fandw.jp/blogs/column/aspartame
ホエイプロテイン摂取の注意点
過剰摂取に注意
通常の食生活において、タンパク質は肉や魚・野菜などから摂取できます。不足しがちと思われているタンパク質ですが、過剰に摂取するとタンパク質とともにカロリーまで必要以上に摂取しかねません。ただホエイプロテインの場合は、タンパク質のみを抽出しているため糖質の過剰摂取は起きにくいです。その反面、一部のプロテインには人工甘味料が含まれており、こちらの過剰摂取が気になります。
また、過剰に摂取したタンパク質は体脂肪として体内に蓄えられます。不足しがちだからといってタンパク質の摂取のみに気を取られないよう注意しましょう。
体重増加につながることも
前述したとおり、使われなかったタンパク質は、体脂肪として体内に蓄えられます。タンパク質の過剰摂取は体重増加につながりかねないため、注意すべきでしょう。
厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一日に必要なタンパク質の量は18歳以上の成人男性で65g、成人女性で50gとされています。個人差はあるものの、おおむねこの基準を守って摂取するようにしてください。
また、ホエイプロテインをジュースや牛乳で割る場合も、プロテインと同時に摂取されるジュースや牛乳によってエネルギー摂取が過多になる可能性も考慮すべきでしょう。牛乳よりも糖質や脂質が少ない豆乳で割るのもおすすめです。
体づくりにならない報告
一日あたりのタンパク質の摂取上限は、体重1kgあたり1.5gとされており、それ以上摂取しても体づくりにつながらないという報告があります。過剰摂取による効果には上限があるため、闇雲に摂取しないよう心がけましょう。
アレルギー発症の恐れ
プロテインはタンパク質が主成分であり、アレルギーを発症する恐れがあります。摂取する前に商品表示をしっかり確認し、摂取後に体に異常が見られる場合は使用を中止し、医師にご相談ください。
参考:https://sndj-web.jp/news/001988.php
参考:https://toyokeizai.net/articles/-/445939?display=b
参考:https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/22/092000036/092100001/?ST=m_bodycare
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf
まとめ
ホエイプロテインは不足しがちなタンパク質を補給するのに適していますが、メーカーが製造するホエイプロテインの中には人工甘味料であるアスパルテームが含まれているものもあります。アスパルテームには発がんリスクが懸念されており、過剰な摂取は禁物ですが、推奨される一日許容摂取量は人の体重1kgあたり40mg程度です。このためメーカーが推奨する通常の摂取量を守って摂取しましょう。
また、アスパルテームが含まれていないホエイプロテインも販売されているので、気になる方はこちらを使用することをおすすめします。
監修者 原 明子(看護師・保健師)
Related posts
Today's pick
Hot topics
Recent.
Tags.