「アミノ酸」って聞いたことはあるけれど、実際どんなものなのかよくわからない…。
そんな風に思っていませんか?
アミノ酸は、私たちの体の組織を作るタンパク質の材料となる大切な栄養素です。肌や髪、筋肉はもちろん、体の機能を調整するホルモンや酵素などにも深く関わっています。
この記事では、アミノ酸の基本的な働きや種類、必須アミノ酸と非必須アミノ酸の違い、そして健康との関係について分かりやすく解説します。美しく健康な毎日を送るためのヒントとして、ぜひ最後まで読んでみてください。
アミノ酸とは
アミノ酸は、私たちの体を構成するタンパク質の基本単位となる有機化合物です。いわば体を作る「ブロック」のようなもので、約20種類のアミノ酸が様々な組み合わせで繋がり、筋肉、皮膚、髪、爪、内臓など体のあらゆる部分を作り上げています。
それぞれの「ブロック」が異なる形や役割を持つように、アミノ酸もそれぞれ特有の性質と機能を持ち、これらがバランス良く働くことで私たちの体は健康に維持しているのです。
アミノ酸は、体内で合成できるか否かで、必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分類されます。必須アミノ酸は9種類あり、体内で作られないため、食事から摂取する必要があります。特に成長期や運動をする人は意識的な摂取が必要です。一方、非必須アミノ酸は11種類あり体内で合成できますが、不足する場合もあるため、食事からの摂取も大切です。
アミノ酸の役割は多岐に渡ります。タンパク質の構成要素であるだけでなく、酵素、ホルモン、神経伝達物質など、生命活動に欠かせない物質の材料にもなります。
日々の食生活で肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など様々な食品からバランス良くアミノ酸を摂取することで、健康な体を維持し、活き活きとした生活を送ることができます。サプリメントも利用できますが、過剰摂取は避けるべきです。バランスの良い食事を基本に、必要に応じてサプリメントを活用するなど、適切な摂取を心がけましょう。
必須アミノ酸
必須アミノ酸とは、私たちの体内で合成することができないため、食事から摂取しなければならない9種類の必須栄養素です。これらは、タンパク質を構成する基本単位であり、筋肉、皮膚、髪の毛、爪、内臓など、体のあらゆる組織の形成に不可欠です。
いわば、家を建てるためのレンガのようなものです。丈夫な家を建てるには、良質なレンガを必要なだけ用意する必要があります。同様に、健康な体を維持するためには、バランスの良い食事を心がけ、これらの必須アミノ酸を十分に摂取することが重要です。
必須アミノ酸が不足すると、成長阻害、免疫力低下、疲労感、肌荒れ、集中力の低下など、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。特に、成長期の子どもや、妊娠中・授乳中の女性、アスリートなどは、必須アミノ酸の必要量が増加するため、より意識的な摂取が必要です。
ここでは、それぞれの必須アミノ酸の役割と、多く含まれる食品について詳しく見ていきましょう。
バリン
筋肉の成長や修復に不可欠なアミノ酸です。激しい運動後や怪我をした際の組織修復を促進する効果があります。また、肝臓の機能維持にも関与しており、エネルギー代謝をサポートします。
バリンを多く含む食品
マグロ、カツオ、チーズ、豆腐、牛乳、牛肉、豚肉など
ロイシン
筋肉のタンパク質合成を促進し、筋肉の成長を促す作用があります。筋トレや運動による筋肉増強効果を高めるために重要です。血糖値のコントロールにも関係しています。
ロイシンを多く含む食品
カツオ、鶏むね肉、卵、牛乳、牛肉、豚肉、大豆製品など
イソロイシン
筋肉のエネルギー源として利用されるほか、筋肉の強化や成長促進、持久力の向上にも効果的です。肝機能の向上、血糖値のコントロールにも関わっています。
イソロイシンを多く含む食品
マグロ、豚ロース、卵、牛乳、ナッツ類、鶏肉、牛肉など
メチオニン
肝機能の維持や、脂質代謝に関与するアミノ酸です。体内の毒素を排出するデトックス効果や、コレステロール値を下げる効果も期待できます。また、髪の毛や爪の健康維持にも重要です。
メチオニンを多く含む食品
カツオ、マグロ、鶏肉、牛肉、大豆、ナッツ類、乳製品など
リジン
コラーゲンの生成に不可欠なアミノ酸で、皮膚や骨の健康維持に役立ちます。肌の弾力性を保ち、シワやたるみを予防する効果も期待できます。免疫力を高め、ウイルスや細菌に対する抗体をつくる材料となります。
リジンを多く含む食品
カツオ、マグロ、鶏むね肉、牛肉、豚肉、チーズ、卵、大豆製品など
トリプトファン
精神を安定させる神経伝達物質であるセロトニンの材料となります。睡眠の質の向上や、ストレス軽減、うつ病予防にも役立つと考えられています。食欲のコントロールにも関与しています。
トリプトファンを多く含む食品
大豆、カツオ、牛レバー、バナナ、牛乳、ナッツ類、鶏肉など
スレオニン
脂肪肝の抑制や新陳代謝の促進に役立つアミノ酸です。成長ホルモンの分泌を促す効果や、免疫機能の向上効果も期待できます。皮膚や髪の健康維持にも役立つと言われています。
スレオニンを多く含む食品
マグロ、豚ロース、鶏肉、牛肉、大豆、ナッツ類、乳製品など
ヒスチジン
神経機能の維持や成長に不可欠なアミノ酸で、特に幼児期には重要な役割を果たします。赤血球に多く含まれているため、不足すると貧血になるおそれがあります。ストレス軽減にも役立ちます。
ヒスチジンを多く含む食品
カツオ、マグロ、鶏肉、牛肉、豚肉、大豆、米、小麦など
フェニルアラニン
神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの材料となり、気分や集中力を高める効果が期待できます。記憶力向上や、食欲抑制効果もあると考えられています。抗うつ効果が期待されます。
フェニルアラニンを多く含む食品
豆類、ナッツ類、牛乳、チーズ、卵、鶏肉、牛肉など
非必須アミノ酸
非必須アミノ酸とは、体内で合成できるアミノ酸のことです。必須アミノ酸のように食事から必ずしも摂取する必要はありませんが、私たちの健康維持に重要な役割を果たしています。
体内で合成できるとはいえ、常に十分な量が作られるとは限らないため、状況によっては不足することもあります。特に、ストレスや疲労、病気など、体の状態が変化した場合には、非必須アミノ酸の合成能力が低下する可能性があります。
それでは、それぞれの非必須アミノ酸の働きと、多く含む食品について詳しく見ていきましょう。
アラニン
エネルギー源として利用されるほか、肝臓機能の保護にも役立ちます。アルコールの分解を促進する作用があるため、二日酔い対策にも効果的です。
アラニンを多く含む食品
カツオ、マグロ、鶏肉、牛肉、豚肉、大豆製品など
アルギニン
成長ホルモンの分泌を促進する効果や、免疫機能の向上、疲労回復、血管拡張作用など、様々な効果が期待されています。特に、免疫力が低下している方におすすめのアミノ酸です。
アルギニンを多く含む食品
落花生、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類など
アスパラギン
疲労回復効果や、持久力向上効果などがあります。アンモニアを体外に排出する作用もあります。
アスパラギンを多く含む食品
肉類、魚介類、豆類、アスパラガスなど
アスパラギン酸
疲労物質であるアンモニアを体外に排出する働きがあります。また、ミネラルの吸収を促進する効果もあります。
アスパラギン酸を多く含む食品
肉類、魚介類、豆類、穀物、アスパラガスなど
グルタミン
筋肉のタンパク質合成を促進する効果や、免疫機能の向上、胃腸の健康維持に役立ちます。
グルタミンを多く含む食品
牛肉、鶏肉、牛乳、チーズ、ヨーグルトなど
グルタミン酸
神経伝達物質として機能し、脳の活動に重要な役割を果たしています。記憶力や学習能力の向上に効果が期待できます。体内で抗酸化作用も発揮します。
グルタミン酸を多く含む食品
小麦粉、海藻、昆布、チーズなど
グリシン
コラーゲンの主成分であり、皮膚や関節の健康維持に不可欠です。また、睡眠の質を向上させる効果や、抗酸化作用もあるとされています。
グリシンを多く含む食品
エビ、カニ、豚肉、鶏肉、ゼラチンなど
プロリン
コラーゲンの生成に必要で、皮膚や骨、軟骨などの健康維持に役立ちます。
プロリンを多く含む食品
ゼラチン、肉類、魚介類、卵、乳製品など
セリン
脳や神経系の機能維持に重要な役割を果たしています。記憶力や学習能力の向上、ストレス軽減効果も期待できます。また、肌の水分量維持にも役立ちます。
セリンはを多く含む食品
大豆、ナッツ類、卵、牛乳、チーズなど
チロシン
神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンの材料となり、気分の調整や集中力の向上に役立ちます。ストレス軽減作用もあることがしられています。
チロシンを多く含む食品
マグロ、豚肉、大豆、チーズ、ナッツ類など
システイン
体内の抗酸化物質であるグルタチオンの生成に関与し、細胞のダメージを防ぐ働きがあります。肝臓の解毒作用にも関与します。
システインを多く含む食品
肉類、魚介類、卵、牛乳、ブロッコリー、玉ねぎなど
まとめ
アミノ酸は、私たちの体を構成するタンパク質の最小単位となる必須栄養素です。筋肉や肌、髪など体の組織を作るだけでなく、ホルモンや酵素など、生命活動に欠かせない物質の材料にもなります。アミノ酸は約20種類存在し、体内で合成できない必須アミノ酸9種類と、合成できる非必須アミノ酸11種類に分けられます。
必須アミノ酸は、肉、魚、卵、大豆製品などに多く含まれ、不足すると健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。非必須アミノ酸も、体内で合成できるとはいえ、常に十分な量が作られるとは限らないため、バランスの良い食事から摂取することが重要です。
それぞれの働きを理解し、必須アミノ酸、非必須アミノ酸ともにバランス良く摂取することで、健康な体を維持し、美しく活き活きとした毎日を送ることができるでしょう。
監修者 深澤 由江(管理栄養士・調理師)
Related posts
Today's pick
Hot topics
Recent.
Tags.