ピーナッツアレルギーは、世界中で多くの人々に影響を与えている食品アレルギーの一つです。ピーナッツを摂取することで免疫システムが過剰に反応し、身体に有害な症状を引き起こします。ピーナッツアレルギーの症状や注意点は、アレルギー反応を避けるために知っておくべきです。この記事では、ピーナッツアレルギーがどのようなものか解説します。
目次
ピーナッツアレルギーとは？
ピーナッツアレルギーは、ピーナッツに含まれる特定のたんぱく質に免疫系が過剰に反応してアレルギー症状を引き起こすことを指します。このアレルギーは非常に少量のピーナッツでも反応し、子どもから大人まで幅広い年齢層に見られます。ピーナッツだけに反応するため、アーモンドやカシューナッツなど他のナッツを全て除去する必要はありません。
ピーナッツアレルギーは、時に非常に重い反応を引き起こすことがあり、適切な対策が必要です。日本ではピーナッツが様々な食品に使われているため、アレルギーを持つ人は成分表示をよく確認しましょう。とくに外食や加工食品を選ぶ際には、ピーナッツが含まれていないか注意が必要です。ピーナッツアレルギーを持つ人は微量でもピーナッツを含む食品の摂取は避けましょう。
ピーナッツアレルギーの症状
ピーナッツアレルギーの症状は多種多様です。症状には個人差がありますが、アレルギー反応はすぐに現れ、アナフィラキシーショックという重度な反応が起こる場合もあります。以下では、ピーナッツアレルギーの症状について紹介します。
- ピーナッツアレルギーの軽度な症状
- ピーナッツアレルギーの重度な症状
- ピーナッツアレルギーの症状はどれくらい続くか
ピーナッツアレルギーの軽度な症状
ピーナッツアレルギーの軽度な症状は、アレルギー反応が比較的穏やかで、命に関わる危険性が少ない状況を指します。以下では、具体的な症状の例を紹介します。
- 口の中や喉のかゆみや異常な感覚
- 軽度のじんましんや皮膚のかゆみ
- 消化不良や軽度の腹痛
- 軽い呼吸困難や喉の絞り感
たとえば、ピーナッツを食べた直後に、口の中がかゆくなったり、喉に異常を感じたりする場合がこれに当たります。軽度な症状は、通常、市販の抗ヒスタミン薬（アレルギー薬）で対処できます。しかし、軽度な症状でもアレルギー反応が急激に悪化する可能性があるため、油断は禁物です。ピーナッツアレルギーが疑われる場合は、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。
ピーナッツアレルギーの重度な症状
ピーナッツアレルギーの重度な症状は「アナフィラキシー」と呼ばれる急性アレルギー反応が代表的です。アナフィラキシーは、食物アレルギーの中でも特に重篤な症状のため、迅速な対応が求められます。一般的に、ピーナッツ摂取後、数分から数時間以内に発症します。以下では、アナフィラキシーの症状について紹介します。
- 呼吸困難：気道が狭まり、喘ぎや咳、ゼーゼーといった呼吸困難が生じます
- 血圧の急激な低下：めまい、意識喪失、ショック状態になり、命に関わる危険があります
- 皮膚の反応：強いかゆみや発疹、血管性浮腫（目や唇の腫れ）などがあります
- 胃腸症状：激しい腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状も現れます
血圧低下や意識障害など生死に関わるような危険な状態のことをアナフィラキシーショックといいます。この場合は迅速かつ適切な医療対応が必要です。すぐに緊急医療機関にかかるか、救急車を呼びましょう。ピーナッツアレルギーを持つ人は、エピペンと呼ばれるアドレナリン自己注射薬を医師の指示のもと常に携帯することが推奨されます。エピペンを使用することで一時的に症状を緩和し、医療機関への移送中に命を救うことができます。
ピーナッツアレルギーの症状はどれぐらい続く？
ピーナッツアレルギーの症状の持続期間は、症状の重さや対処方法によって変わります。一般的に、皮膚の発疹やかゆみ、くしゃみや鼻水などの軽い症状の場合は、数時間から数日間続くことが多いです。症状の持続時間は、摂取したアレルゲンの量や個々の体質、適切な対処ができたかどうかによって変わります。アレルギー症状が出たら、すぐに医療機関を受診しましょう。医師の指示に従って適切な処置を受ければ、症状の持続期間を短くし、合併症を防ぐことができます。
ピーナッツアレルギーの対策や注意点
ピーナッツアレルギーを持つ人が安全な食生活を送るには、いくつかの対策が必要です。ピーナッツアレルギーには個人差があり、症状の出方が異なるため、家族や周りの人にもアレルギーについて理解してもらうことが大切です。以下では、ピーナッツアレルギーの対策や注意点について紹介します。
- ピーナッツアレルギーで食べてはいけないものを確認する
- ピーナッツオイルを含む化粧品を使わない
- ピーナッツアレルギーなのに食べてしまったら?
- アーモンドやくるみ、カシューナッツは食べられる
ピーナッツアレルギーで食べてはいけないものを確認する
まず、ピーナッツを含む食品や調味料を避ける必要があります。具体的には、以下のとおりです。
- ピーナッツバターやピーナッツペーストを使ったサンドイッチやお菓子
- ピーナッツオイルを使った料理
- エスニック料理のソースやディップ
- ピーナッツが含まれているアジア料理（とくにタイ料理やインド料理）
- ピーナッツが使われる食品加工品（一部のクッキー、ケーキ、チョコレートなど）
成分表示をよく確認し、ピーナッツが含まれていないか確認することが重要です。「ピーナッツ」や「落花生」そのものだけでなく、エキスなどピーナッツ由来成分を使用しているため、「原材料の一部にピーナッツを含む」などと表示されることもあります。とくに外食時は、店員の人にピーナッツアレルギーであることを伝え、使われている調味料や成分を確認しましょう。
ピーナッツオイルを含む化粧品を使わない
化粧品に含まれるピーナッツオイルにも注意が必要です。一部の化粧品やスキンケア製品には、保湿やエモリエント成分としてピーナッツオイルが使われています。ピーナッツオイルが含まれる製品を肌に塗ると、アレルギー反応を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。以下では、ピーナッツアレルギーの人が化粧品を選ぶ際の注意点について紹介します。
- 化粧品やスキンケア製品の成分表を必ず確認する
- 「アレルゲンフリー」や「アレルギー対応」と記載されている製品を選ぶ
- 敏感肌用の製品を選び、成分表に「ピーナッツオイル」や「アラキスオイル（Arachis Oil）」が含まれていないことを確認する
とくに、化粧品を購入する際や使い始める際には、成分表を必ず確認することが重要です。使用前にパッチテストをおこない皮膚に異常がないか確認しましょう。パッチテストは、使用する製品を腕の内側に少量塗り、24時間程度様子を見て反応がないか確認する方法です。ピーナッツアレルギーの人は、化粧品選びにおいても慎重になり、知識を持って選ぶことが大切です。
ピーナッツアレルギーなのに食べてしまったら？
ピーナッツアレルギーの人が誤ってピーナッツを摂取してしまった場合、迅速な対処が必要です。まず、アレルギー反応が軽度であっても、すぐに抗ヒスタミン薬を摂取しましょう。重度の症状が現れた場合や呼吸困難、喉の腫れ、突然の重い息切れなどの症状がある場合は、直ちに救急車を呼び、医療機関での緊急処置を受けてください。
また、エピペンを持っている場合は、躊躇せずに使用しましょう。エピペンはアナフィラキシーなどの重度のアレルギー反応に対する第一次選択剤です。使用後に体調が戻らない場合は必ず救急車を呼び、医療従事者に状況を知らせてください。
日常生活においては、ピーナッツアレルギーのリスクを低減するために、ピーナッツを含む食品や製品の成分表示をしっかり確認することが重要です。また、家族や友人、職場の同僚にもピーナッツアレルギーであることを知らせておくと、万が一の事態に速やかに対応できます。誤ってピーナッツを食べてしまった時の対応をまとめます。
- 軽度の症状があった場合：抗ヒスタミン薬を服用する
- 重度の症状があった場合：直ちに救急車を呼び、エピペンを使用する
- 常に成分表示を確認し、日常生活でアレルギー症状を予防するための対策を取る
アーモンドやくるみ、カシューナッツは食べられる
ピーナッツは豆類、アーモンドやくるみ、カシューナッツはナッツ類に分類されます。そのため、ピーナッツアレルギーがあってもナッツ類は食べられます。しかし、実際に食べるときは注意が必要です。ピーナッツアレルギーの人の中には、他のナッツにアレルギー反応がでてしまう可能性もあります。そのため、事前にアレルギー検査をして、どのナッツにアレルギーがあるか確認しましょう。
とくに、初めてのナッツは少量から試すか、医師の監督の下で食べると安心です。さらに、これらのナッツがピーナッツと同じ製造過程で作られることがあります。アレルギーのリスクもあるので、食品ラベルをよく確認し、製造過程でピーナッツが使われていないかチェックすることも重要です。
まとめ
ピーナッツアレルギーを持つ人やその周囲の人が安心して過ごすためには、正確な知識と適切な対策がとても重要です。アレルギー反応を防ぐためには、ピーナッツを含む食品を避け他のナッツ類にも注意し、どのような症状が出るかを事前に知っておきましょう。とくに症状が重い場合でなくとも、体調の変化があった場合はすぐに医療機関を受診してください。ピーナッツアレルギーを持つ人が安心して生活を送るためには、食品ラベルを確認する習慣をもち、ピーナッツ類を避けるなどの自己管理はもちろん、周囲の理解と協力が必要です。不安がある場合は医療機関に相談しましょう。
