「大人になってから急にパンが食べられなくなった」「以前は大丈夫だったのに、最近外食が怖くなった」と、ご自身の身体の変化に戸惑っていませんか?一般的に食物アレルギーと言われると、小さい頃からの持病や、あるいは子どもがなるものというイメージが強いかもしれません。しかし、食物アレルギーは、大人になってから発症することもあるのです。

その一つが、小麦アレルギー。小麦アレルギーは、その名の通り、パンや麺類などの小麦製品を摂取することで、身体に起こるアレルギー症状のことです。

小麦アレルギーを治すにはどうすればよいのか。まずは大人の小麦アレルギーについて、その基本的な知識から、対処法まで詳しく説明していきます。

大人になって突然小麦アレルギーになる?

多くの人が「小麦アレルギーは小さい頃からの体質によるもの」と考えているかもしれませんが、実は大人になってから小麦アレルギーになることもあります。大人の小麦アレルギーは無症状期間を経て、突然症状が出るというケースが多いため、「いつの間にか小麦アレルギーになっていた…」という人も少なくありません。

アレルギーの発症には個人の体質や環境などが絡むため、昔は問題なかったものが突然「アレルギー体質」として現れることもあります。

その中でも、小麦アレルギーは小麦を含む食べ物を食べた後、身体のどこかがかゆくなったり、じんましんが出たり、下痢や腹痛の症状が多く見られます。小麦を食べても何も問題なかったのに、ある時期から何か体調がおかしいと感じ始めるのが特徴です。

特に、食事後になんとなく体調が悪くなることがある、という人は、小麦アレルギーが隠れている可能性もあるため、身体の変化をしっかりと見つめましょう。また、小麦アレルギーの疑いがある方は、小麦を慎重に摂ることをおすすめします。具体的には、小麦を含む食事を摂った後の身体の変化に気をつけるとよいでしょう。

大人の小麦アレルギーの原因/発症のきっかけ

小麦アレルギーとは、小麦に含まれる特定のタンパク質に対して身体が過剰反応を起こすことによって生じます大人になってから突如として発症する原因は、個々の遺伝的な素因や身体の状態、環境要因などが複雑に絡み合うことによるものです。

原因1:遺伝的素因

アレルギー症状は、遺伝的要素を大きくもつことが科学的に確認されています。つまり、アレルギー体質の親から子へと遺伝する可能性があるのです。遺伝子レベルで親から受け継がれた体質により、大人になってから突如として小麦アレルギーが発症するケースは少なからず存在します。

参考:やまなしアレルギーナビ

原因2:体調や身体の状態

アレルギー症状は、体調や身体の状態に大きく左右されます。例えば、体調が悪い時や免疫力が低下している時は、過剰な免疫反応が起きやすくなるといいます。仕事のストレスや睡眠不足、運動不足などが続いていると、免疫機能が正常に働かなくなり、これまでアレルギー反応を示さなかったものに対しても反応してしまう可能性があります。

原因3:食生活の変化

食生活の変化も、大人になってから小麦アレルギーが発症する一因と考えられます。特に、糖質のとりすぎはアレルギー発症と大きく関わっており、糖質の過剰摂取によって血糖値が乱れると、コルチゾールというホルモンが分泌し、血糖値を調整するために働きます。

コルチゾールには抗アレルギーの働きがあり、その分泌が減少することでアレルギー症状が悪化することがあります。たとえば、一人暮らしを始めるなど、一気に小麦食品を摂取する機会が増えた場合などに起こることがあります。原因を理解することで、自身が小麦アレルギーになった原因を探ったり、症状の改善に働きかけることが可能となります。

大人の小麦アレルギーの症状

小麦アレルギーは乳幼児期に発症する人が多いですが、年齢とともに治まり、小学校入学頃までには8割以上が治るといわれています。一方、大人になってから突然小麦の摂取によって体調不良を起こす人もいます。

この体調不良は、実は小麦アレルギーが原因である可能性があります。では、大人になってから引き起こされた小麦アレルギーはどのようなものなのでしょうか。以下では、大人の小麦アレルギーの症状について詳しく紹介します。

消化器系の症状

まずは、消化器系の症状から説明しましょう。小麦食品を食べたあとすぐに、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐などを経験した場合は小麦アレルギーを疑ってみてよいかもしれません。これらの症状は、小麦に含まれるグルテンが腸の粘膜に貼りつき体外に排出されないことでダメージを与えることによって起こります。

皮膚や粘膜に現れる症状

次に、皮膚や粘膜に現れる症状について説明します。これは発疹、蕁麻疹や湿疹、かゆみや赤み、などといったものがあります。小麦アレルギーの皮膚症状は小麦を含む食品を食べた直後に現れることが多いのでたとえば、症状が現れれば、それは小麦アレルギーの可能性が高いでしょう。

呼吸器系の症状

小麦アレルギーの呼吸器系の症状には鼻水やくしゃみ、咳の他に、喘鳴や呼吸困難といった深刻な症状もあります。呼吸器系症状には特に注意が必要で重症な場合は命に関わるアナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。これらの症状は、風邪のように感じてしまうため誤認しやすいですが、風邪薬を飲んでも症状が改善しない場合や、小麦を含む食品を摂取して2時間以内にこれらの症状が現れた場合は、小麦アレルギーの可能性を疑ってみるとよいでしょう。

全身的な症状

最後に、全身的な症状としては、発熱倦怠感などがよく見られます。これらの症状は、身体が小麦を異物として認識し、体内で炎症反応を起こしていることが原因と考えられます。

以上が、大人の小麦アレルギーの具体的な症状です。全身的な症状から皮膚や粘膜の反応、消化器や呼吸器系の症状まで、幅広い範囲にわたります。

いずれかの症状が見られたらすぐに医療機関を受診することをおすすめします。また、症状が現れやすい食べ物や状況を記録し、トリガーを発見するために役立てましょう。健康を守るためにも、自身の身体に起きている現象を早く理解することが重要です。

大人で小麦アレルギーが発症しやすい人とは

では、大人で小麦アレルギーが発症しやすい人はどのような人なのでしょうか。以下では大人で小麦アレルギーがなりやすい人を大きく3つの特徴に分けてご紹介します。

イネ科の花粉症の人

まず一つ目は、イネ科の花粉症の人です。花粉症はアレルギーの一種であり、これと同時に食物アレルギーも発症しやすいとされています。また、アレルギー発症までいかなくても、イネ科の花粉症の季節に小麦を摂取すると、花粉症が悪化することがあるので、5~7月頃は特に食事には注意すべきだといえます。

参考:科研費

アレルギー体質の人

二つ目は、アレルギー体質の人です。アレルギー体質とは、体質的にアレルギー反応を起こしやすい人を指す言葉で、これに該当する人は、小麦その他の食物アレルギーを発症しやすいと考えられています。アレルギー体質かどうかは生まれ持っての遺伝的要因が大きいといわれていますが、環境的要因などでも発症のしやすさは変わります。そのため、アレルギーを持っている家族がいる方は少し注意してみるとよいでしょう。

生活習慣の良くない人

そして、三つ目は、生活習慣が良くない人です。過度のストレスや糖質を過剰摂取するような不規則な食生活は腸内環境を乱し、これによって身体の免疫機能が低下します。その結果、アレルギー反応が起こる可能性が高まります。

これらの特徴に当てはまる人は、小麦製品を摂る際には、身体の変化に注意を払いつつ、必要に応じて医療機関への相談することを推奨します。また、早期発見が大きな症状を防ぐためにも大切であるため、普段から体調の変化に敏感でいるよう心がけてください。

食物アレルギーは一人ひとり異なる症状や食物に対する反応を示すため、自分が当てはまるかどうかを知ることも、自分自身の健康を守るための一歩となります。これからの食生活で小麦アレルギーへの理解を深め、自身の体質やライフスタイルに適した対応を見つけていきましょう。

大人の小麦アレルギーは治る?具体的な治療法

大人の小麦アレルギーは根本的な治療法がまだ見つかっておらず、自然には治りません。そして、大人の小麦アレルギーは重症になる可能性が高く、アナフィラキシーショックを起こすケースもあります。

小麦アレルギーと診断されたら小麦を避けることが基本になりますが、小麦製品を避け続けることがストレスになる可能性もあります。

そこでストレスなく小麦を避けるために、小麦の代替食品を利用するとよいでしょう。

小麦に含まれるグルテンが入った食品を摂取しないようにするライフスタイルのことをグルテンフリーといい、近年では小麦の代わりに米やトウモロコシ、ソバなどを使った食品が増えつつあります。

グルテンフリーを意識することでストレスなく小麦を除去し、症状を和らげることができるでしょう。すべての食事から小麦を避けるとなると困難かもしれませんが、その際はグルテンフリーのレシピや飲食店の活用をおすすめします。グルテンフリーのレシピや飲食店の情報はネットでも充実してきているため、ぜひ確認してみてください。

大人の小麦アレルギーは原因や症状を理解し上手に付き合おう

大人になってからの小麦アレルギーは不意に日常生活を揺るがす可能性があります。大人の小麦アレルギーは、現段階では治療法が見つかっていませんが原因や症状を理解し、対策をすることで症状を和らげることができます。近年では小麦の代替食品も多く出回っているのでそれらを活用しつつ、必要に応じて医療機関に相談するなどして、上手に小麦アレルギーと付き合っていけるとよいでしょう。