グルテンフリーとは、文字どおり、グルテンを含まない食事を意味します。グルテンとは、主に小麦に含まれるたんぱく質で、パンやパスタなどの生地の伸びをよくする役割を担う成分です。グルテンに対するアレルギーや不耐性がある方々、あるいはグルテンの摂取を避けることで体調管理をしたい方々は、グルテンフリーの食事に注目しています。
「グルテンフリーにしてみたいけれど、具体的に何を食べればよいかわからない」と悩みを抱えている方のために、本コラムでは、グルテンフリーの食事例を、和食、洋食、麺類、パン類、お菓子の5つのカテゴリーに分けて具体的に紹介していきます。
目次
1:小麦を抜く?グルテンフリーとは
グルテンフリーとは、小麦をはじめとするグルテンを含む穀物を一切摂取しない食事スタイルのことです。グルテンフリーの食事法は、世界中で健康志向の方々から注目されています。グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるたんぱく質のことです。グルテン特有の粘りは、パンをふっくらやわらかくして、麺類をもっちりさせるなど、料理の食感を向上させるために利用されています。
しかし、体質的にグルテンの摂取が適さない方もいます。小麦アレルギーを持つ方やグルテン不耐性の方、セリアック病という自己免疫疾患を持つ方にとって、グルテンは摂取を避けるべき成分となるのです。
また、グルテンフリーは健康維持や美容、ダイエットに効果が期待できる、ともいわれています。そのため健康であるにもかかわらず、グルテンフリーを選択する方々も少なくありません。
近年は「グルテンフリー」という言葉が広く認知されつつあります。多くの食品メーカーがグルテンを含まない製品を販売し、グルテンフリーのメニューを提供するレストランやカフェも増加中です。このように、グルテンフリーは一種のライフスタイルともいえるほどに定着してきています。
2:グルテンフリー生活のための食材ガイド
グルテンフリーの食事法では、食材選びが重要です。ここからは、グルテンフリーの食材選びの基本的なポイントを紹介します。
- 2-1:グルテンフリー食材の選び方
- 2-2:グルテンを含む食材とその代替品
2-1:グルテンフリー食材の選び方
グルテンフリーの食事を始めるにあたり、重要かつもっとも頭を悩ませるのが食材の選び方です。肉や魚、野菜などの食材には、基本的にグルテンは含まれません。そのため、これらの食材は問題なく食べられますが、調味料にグルテンが含まれることがあるので注意が必要です。
厄介なのが、調味料や加工食品です。ほとんどのソースやドレッシングには、グルテンを含む小麦が使われています。そのため、グルテンフリーと明記されている調味料を用意すると安心です。その際、ラベルや原材料に記載されている成分をよく読み、グルテンを含まないことを確認しましょう。製品によっては、グルテンフリーを謳っていても小麦を使っている場合があるので、必ず確認してください。
加工食品や調理済み商品には、見た目ではグルテンの有無が分からないものもあります。これらの食品を選ぶ際も、ラベルや原材料をよく確認しましょう。パンやお菓子はほとんどが原材料に小麦粉を使用しているため、グルテンフリーの製品を選ぶ必要があります。
食材に加えて、調理器具や調理過程にも注意しましょう。一度小麦を使った調理器具は完全に洗浄し、小麦粉が飛び散る可能性がある料理との同時調理は避けてください。
2-2:グルテンを含む食材とその代替品
グルテンを含む食材は、グルテンフリーの食材に置き換えられる場合があります。グルテンを含むのは小麦、大麦、ライ麦などの穀物です。これらはパンや麺、ビスケット、ケーキなど、多くの加工食品に使用されています。また、ソースやドレッシングなどの調味料にグルテンが含まれていることにも注意が必要です。
これらの食材と置き換えられる代表的なグルテンフリー食材には、米粉、そば粉、オートミールが挙げられます。
- 米粉:小麦粉と代替可能で、パンやケーキ、ビスケット、麺といった幅広い食品に使用できます。料理のとろみづけにも使えます。
- そば粉:パンケーキやお菓子などに使用できます。
- オートミール:オートミールの原料であるオーツ麦は、グルテンフリー食材です。パンケーキやお菓子に利用できます。
そのほか、アーモンドパウダー、ココナツパウダー、タピオカ粉、テフ粉などもグルテンフリーの代替食材として利用できます。ただし、上記の食材にもグルテンが含まれる可能性があります。パッケージの表示をよく見て、グルテンフリーであることを確認してから使用してください。
グルテンフリー生活については「“ゆる”グルテンフリー生活のやり方/始め方。無理なくグルテンフリー生活を取り入れよう」で解説しています。あわせて読んでみてください。
3:グルテンフリーの食事例: 和食、洋食、麺類、パン類、お菓子
- 3-1:和食
- 3-2:洋食
- 3-3:麺類
- 3-4:パン類
- 3-5:お菓子
3-1:和食
グルテンフリーの初めの一歩として挑戦しやすいのが、日本の伝統的な「和食」です。和食は、グルテンフリーに適したメニューを多く含んでいます。
日本食の中心となるご飯、つまり「白米」はグルテンを含まない食材のため、安心して楽しめます。日本の汁物、とくに「味噌汁」はその多くがグルテンフリーです。ただし、グルテンを含む味噌もあるので注意しましょう。
和食の「主菜」には「焼き魚」や「煮物」など、さまざまな料理があります。「焼き魚」で用いられる調理法のうち、塩焼きはグルテンフリーです。ただし、照り焼きや味噌漬けは調味料に注意を払う必要があります。「煮物」の場合、調味料や具材を選ぶことで、グルテンフリーにできます。
「副菜」についても、グルテンフリーに適した食材を選べば安心です。おひたしやきんぴらなどはシンプルな調理法で、素材そのものの味を楽しめます。とはいえ、調味料にはグルテンを含むものもあるので注意が必要です。
和食を活用すれば、1日3食をグルテンフリーにすることは難しくありません。食材や調味料の選び方、調理法に少し注意を払うことで、おいしいグルテンフリーの食事を楽しめます。
3-2:洋食
洋食と聞くと、パスタやピザを思い浮かべるでしょう。これらの料理は小麦を使用しているため、グルテンフリーの食事には適していません。しかし、洋食は、代替食品を上手に利用すれば、グルテンフリーに変えられます。
グルテンフリーのパスタを食べたいときは、そば粉や米粉を使った商品をおすすめします。そば粉や米粉のパスタは、小麦のパスタに比べて風味が豊かで健康的です。パスタソースは、トマトベースやオイルベースなど、グルテンを含まないものを選びましょう。
代替食品を使用すれば、グルテンフリーのピザも作れます。ピザ生地にはコーンミールや米粉を使い、トッピングはチーズや野菜、ハムなどのグルテンを含まないものを選べば良いのです。
3-3:麺類
グルテンフリーの食生活を始めると、「麺類」が食べられなくなると感じる方も多いでしょう。しかし、実際にはグルテンを含まない、すぐれた代替品がたくさんあります。
まずおすすめしたいのは、グルテンフリー食材であるそば粉を100%使用した「十割そば」です。そば粉は食物繊維が豊富で健康にもよく、低GI食品でダイエットにも効果が期待できます。とくに十割そばは、そばの風味を豊かに感じられる、おいしいグルテンフリー食品です。
ただし、十割そば以外の商品には小麦粉が使われていることがあるため、成分表示をよく確認しましょう。
またラーメンが好きな方には、米粉で作ったラーメンがおすすめです。米粉の麺はつるつるした食感でラーメンによく合い、グルテンフリーであるにも関わらず、満足感を得られます。
さらに、こんにゃくを使用した麺類も好評です。こんにゃく麺は低カロリーなので、グルテンフリーの食事だけでなく、ダイエット食にも適しています。
グルテンフリーの麺類を活用すると、カレーうどんや冷やし中華、ボンゴレビアンコなど、さまざまなジャンルの麺料理を再現できます。
グルテンフリーの麺類は、価格が若干高めなものもありますが、健康とおいしさを両立させることを考えると、非常にすぐれた選択といえるでしょう。どの麺類も日本全国のスーパーや自然食品店、またはオンラインショップで手軽に購入できます。あなたもぜひ、グルテンフリーの麺類を試してみてください。
3-4:パン類
一般的なパンは小麦などの穀物から作られるため、グルテンを含みます。しかし小麦の代替食材を活用すれば、グルテンフリーのパンを楽しめます。
まず紹介するのは、「米粉」を使用したパンです。米粉は、その名のとおり米から作られた粉であり、グルテンが含まれていません。米粉パンはそのままでもおいしく食べられますが、トッピングやフィリングの工夫次第で、さらに味わい深いパンになります。例えば、朝食やおやつに食べるなら、ベリーミックスやナッツ、チーズなどをトッピングするとよいでしょう。
次に、「そば粉」を用いたパンも人気があります。そば粉は、そばの実を挽いた粉で、グルテンフリー食材のひとつです。そば粉を使用したパンは、そばの香ばしい香りと独特の風味が楽しめます。パン自体の風味が特徴的なので、シンプルなトッピングがおすすめです。
また、「オートミール」を活用したパンもあります。オートミールはオーツ麦の一種で、ダイエットや美容にも良いとされています。たっぷり含まれている食物繊維がお腹の中で膨らむため、満腹感を得やすいことも、オートミールのメリットです。
グルテンフリーのパンは自宅で作ることもできます。しかし最近は、グルテンフリーを謳ったパン屋さんも増えており、手軽に購入できることもあります。
3-5:お菓子
ほとんどのお菓子に小麦粉が使われているため、グルテンフリーの生活を始めると「お菓子を諦めなければならないのか?」と不安になるかもしれません。しかし、安心して楽しめるグルテンフリーのお菓子はたくさんあります。ここではいくつかの基本的な代替食材と、おすすめの手作りお菓子レシピをご紹介しましょう。
お菓子作りに欠かせない小麦粉の代替食材に、米粉やそば粉があります。どちらもグルテンを含まないため、グルテンフリーのお菓子に最適です。そのほか、オートミールもグルテンフリーのお菓子によく使用されます。オートミールは幅広いレシピに応用可能で、ビタミンや鉄分などの栄養素も豊富に含まれているため、健康的な代替食材です。
グルテンフリーのお菓子は、手作りされることも多くあります。「米粉のスコーン」は、気軽に作れておいしいレシピのひとつです。米粉とベーキングパウダー、バター、牛乳を混ぜた生地にパセリやチーズを加え、焼くだけで作れます。また、健康的にスイーツを楽しみたい方は、食物繊維が豊富なオートミールを使用した「オートミールとナッツのクッキー」もおすすめです。
手作りのお菓子は、自分の好みに合わせて自由にアレンジできるのが魅力です。制約が多くなりがちなグルテンフリーのライフスタイルですが、お菓子作りを楽しみながら、豊かな食生活を送ってください。
グルテンフリーの食事例については「グルテンフリーの食事例|おすすめ食材やレシピ、何を食べればいいのかを徹底解説」で解説しています。あわせて読んでみてください。
4:事前に知っておこう!グルテンフリーのメリットとデメリット
グルテンフリーの生活にはさまざまな利点があるとともに、デメリットも存在します。この章では、次のポイントについて詳しく解説していきます。
- 4-1:グルテンフリーのメリット/利点
- 4-2:グルテンフリーのデメリット/欠点とその対策
4-1:グルテンフリーのメリット/利点
グルテンフリーにはさまざまなメリットがありますが、この章では特に重要な点に絞って解説します。
ひとつ目のメリットは、アレルギー症状の軽減が期待できる点です。グルテンにアレルギーのある方は、グルテンフリーの食生活に切り替えると、症状が緩和する可能性があります。
ふたつ目のメリットとしては、健康的な体重管理が可能になる点が挙げられます。グルテンを含む食材の多くが高糖質であるため、体重の増加に影響を与える可能性は否めません。しかし、グルテンフリーの食生活を実践することで、健康的にダイエットできることがあります。
三つ目のメリットは、食事の質への意識が高まる点です。グルテンフリーの食事は、独特な食材やレシピを使用することが多いため、食材の選び方や料理の作り方への意識が高まります。
4-2:グルテンフリーのデメリット/欠点とその対策
メリットばかりのように感じるグルテンフリーの食生活にも、デメリットがあることに注意が必要です。ひとつ目のデメリットとして、栄養不足が挙げられます。グルテンを含む小麦は、エネルギー源となる大事な糖質のほか、たんぱく質や食物繊維といった栄養素も豊富です。グルテンの摂取を避けていると、これらの栄養素が不足し、体調不良を引き起こすおそれがあります。
対策として、バランスの良い食事と適宜のサプリメントの利用が有効です。グルテンフリーの食事であっても、糖質はジャガイモやサツマイモ、米などから摂取できます。また魚や肉、豆類、野菜、果物などからはたんぱく質や食物繊維を補えます。さらに、食事からの栄養素の十分な摂取が難しい場合は、サプリメントで補うこともひとつの方法です。
ふたつ目のデメリットに挙げられるのが、食事のバリエーションが減ることです。小麦粉を使った料理を避けていると、食事の選択肢が狭まってしまいます。
代替食材を活用すれば、このデメリットを解消できます。例えば、パスタは米粉やそば粉を使用したグルテンフリーの商品が市販されており、アーモンドパウダーやココナツパウダーなどを使えば、お菓子作りも可能です。これらを上手く取り入れながら、バラエティ豊かな食生活を送りましょう。
グルテンフリーのデメリットについては「グルテンフリーを始める前に知っておきたい7つのデメリットとは?」で解説しています。あわせて読んでみてください。
まとめ
グルテンフリーは、体質的にグルテンの摂取を避ける必要がある方、健康管理のためにグルテンの摂取を控えている方から関心を集めている食事スタイルです。しかしいざ実践しようとすると、食材選びに苦戦する方が多くいます。この記事で紹介した食材選びのポイントや、代替食品を参考にすれば、スムーズにグルテンフリーの食生活を始められるでしょう。
グルテンフリーの食事法には多くの制約があるように感じますが、和食、洋食、麺類、パン類、お菓子と、どのカテゴリーも工夫次第で十分に楽しめます。
一方で、グルテンフリーのデメリットについても理解しておきましょう。必要な栄養素を欠いてしまう、食事の選択肢が限られるといった可能性がありますが、きちんと対策を立てることでこれらのデメリットは解消できます。グルテンフリーを取り入れながら食事の多様性を楽しみ、自分らしく豊かな生活を送りましょう。
中山祥子
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