近年日本では、グルテンフリーダイエットが注目されています。グルテンとは、主に小麦などの穀物に含まれるタンパク質で、パンや麺などに多く含まれています。
このグルテンに対して過敏に反応し、身体のさまざまな不調を引き起こす症状をグルテン不耐症(過剰症)と呼びます。グルテン不耐症の症状には腹痛、下痢、吐き気、頭痛、疲労感などがあり、日常生活にも影響が出ることから、グルテンを完全に取り除いた食事をとる、グルテンフリーダイエットに取り組む人が増えています。
目次
1:グルテン不耐症(過剰症)とは
グルテン不耐症(過剰症)は、小麦や大麦、ライ麦に含まれるタンパク質であるグルテンに対する遺伝性の不耐症であり、グルテンを含む食品を摂取すると消化器系の不調や疲労、皮膚の問題など、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。診断は、典型的な症状と小腸の粘膜から摂取した組織サンプルの検査結果に基づいて下されます。
グルテン不耐症は、小麦、大麦、ライ麦などの穀物中に含まれるタンパク質であるグルテンに対して免疫反応を示すことによって引き起こされます。グルテン不耐症の症状は個人によって異なりますが、主な症状としては、成人では下痢、低栄養、体重減少などがあり、小児では腹部膨満、非常に悪臭のする大量の便、成長不良などがあります。
グルテン不耐症の原因は、グルテン(タンパク質の一種で主に小麦に含まれ、大麦やライ麦では含有量が比較的少量)が免疫系を刺激して、特定の抗体を産生することによります。この抗体の影響で、腸管での栄養素の吸収不良が起こります。しかし、グルテンが含まれる食物の摂取をやめることで、その機能を回復させることができます。グルテン不耐症を正確に診断するためには、専門医の診察や検査が必要です。
グルテン不耐症を持つ人々は、食事によって症状を管理することが重要です。具体的な管理方法としては、グルテンを含む食品(パン、パスタ、クッキーなど)を避けることや、グルテンフリーの代替品を利用することが挙げられます。また、栄養バランスの取れた食事を摂ることも重要です。正しい知識と適切な管理方法を学ぶことで、健康的で快適な生活を送ることができます。
2:グルテン不耐症(過剰症)の症状とは
グルテン不耐症の症状は人によって異なりますが、一般的なものは腹痛や腹部膨満感、下痢や便秘といった消化器系の問題です。さらに、グルテン不耐症では気分の落ち込みや疲労感、頭痛、関節痛、皮膚の問題(湿疹やアトピー性皮膚炎など)などの症状が現れることもあります。
消化器系の症状については、食事後すぐに現れることが多いです。食べた直後から腹痛や腹部膨満、下痢、便秘が起こることもあります。しかし、他の症状は食事から数時間や数日後に現れることもあるので、グルテン不耐症の症状を特定するのは難しい場合もあります。
「グルテンフリー」や「グルテンゼロ」といった食品は、グルテン不耐症の人にとっては適切な選択肢となります。これらの食品は小麦や大麦、ライ麦を含まずに作られているため、消化器系の問題を起こしにくいです。
しかし、注意が必要な点もあります。グルテン不耐症の診断を受けていない人が無理な食事制限を行うと、栄養バランスが崩れる可能性があるため、診断、治療を含め、専門家の指導のもとで行うことが重要です。
- グルテン不耐症の症状は人によって異なりますが、腹痛や腹部膨満感、下痢、便秘などの消化器系の症状が最も一般的です。
- また、気分の落ち込み、疲労感、頭痛、関節痛、皮膚の問題(湿疹やアトピー性皮膚炎)などの消化器症状とは関係ないような症状が現れることもあります。
- グルテンフリーの食品はグルテン不耐症の人にとって適切な治療方法となりますが、栄養バランスを崩さないよう、専門家の指導のもとで行うことが重要です。
3:グルテン不耐症(過剰症)のセルフチェック
グルテン不耐症は、医師の診断を受けることで確認することができますが、日常生活の中で自己診断する方法も存在します。具体的には、一時的にグルテンを含む食品を食事から排除し、体調の変化を観察することです。
セルフチェックの手順は以下の通りです。
- グルテンを含む食品の摂取を一時的に中止します。例えば、パンや麺類、クラッカーやビスケットなどの穀物製品を避けます。
- 摂取を中止した後、数週間から数ヶ月間の期間、体調の変化を注意深く観察します。特に、消化器系の不調(腹痛、下痢、便秘など)、皮膚の症状(かゆみや発疹など)、神経系の異常(集中力の低下、頭痛、うつ症状など)などに注意します。
- その後、グルテンの摂取を再開した後に、再び症状が現れる場合、グルテン不耐症の可能性が高いです。この場合、専門医の診断を受けることをおすすめします。
セルフチェックで得られた結果は参考程度と考え、確実な診断を得るためには、医師による診断が必要となります。
4:グルテン不耐症(過剰症)の治し方は小麦を避けること
グルテン不耐症の対策としては、まずグルテンを含む食品を避けることが基本となります。具体的には以下のような生活習慣の見直しが効果的です。
- 4-1: 和食を心がける
- 4-2: 自炊を心がける
- 4-3: 小麦粉を米粉などに置き換えてみる
4-1: 和食を心がける
日本の伝統的な食事である和食は、主に米を主食とするため、グルテンをほとんど含まない食材が多いです。食事を和食中心にすることで、グルテンの摂取を減らすことが可能です。
和食は、美味しくて栄養価も高い食事です。ご飯、魚、海藻、大豆製品、野菜をバランスよく摂ることで、体に必要な栄養素を摂取しながら、グルテンフリーの生活を送ることができます。また、和食は季節の食材を活かした料理が多く、新鮮でおいしい食事を楽しむことができます。季節ごとの旬の食材は、栄養価が高く、身体にも優しい効果をもたらします。
和食の代表的な料理には、刺身、寿司、天ぷら、味噌汁、茶碗蒸しなどがあります。これらの料理は、グルテンフリーの選択肢としても最適です。和食の特徴であるバランスの良い食材や調理法は、消化吸収に良く、身体に負荷をかけることもありません。
さらに、和食は見た目にも美しい料理が多く、食事を楽しむこともできます。器や盛り付けにも工夫がされ、目で楽しむことで食事の満足感も高まります。
和食を心がけることで、グルテンフリーながらも、健康的な食生活を送ることができます。日本の伝統的な料理文化を楽しみながら、グルテンフリーの生活を実現しましょう。
4-2: 自炊を心がける
外食や加工食品には意外と多くのグルテンが含まれています。自炊を心がけることで、食材の選択や調理方法をコントロールし、グルテンの摂取を抑えることが可能です。
外食や加工食品では、野菜や豆腐などの健康的な食材よりもグルテンを多く含んだ食品が選ばれることが多いです。
自炊によってメニューを自由に設定し、食材の選択や加工方法をコントロールすることができます。例えば、穀物アレルギーを持つ人にとっては、小麦に代わる食材として米粉やキヌアを使ったパンやパスタを作ることができます。また、グルテンを含まない食材を中心にメニューを組むことで、様々な栄養素をバランスよく摂取することができます。
さらに、外食や加工食品では、添加物や調味料の使用量が多く、栄養バランスが偏っていることも多いです。しかし、自炊をすることで、無理な添加物や過剰な調味料の使用を避けることができるため、より健康的な食事を摂ることができます。
手間や時間はかかるかもしれませんが、食事の準備や調理を楽しむことで、自炊を苦に感じなくなるでしょう。特にグルテンフリーの食事を続ける場合、自宅で調理することで、食材の選択や調理法を自由に変えることができ、バリエーション豊かなメニューを楽しむことができます。
自炊を心がけることで、より健康的な食事を実現し、グルテンによる問題を軽減することができます。食材の選択や調理法に工夫を加え、自分自身や家族の健康をサポートしましょう。
4-3: 小麦粉を米粉などに置き換えてみる
小麦粉を使った料理を作る際は、グルテンを含まない代替品として米粉やコーンスターチ、タピオカ粉などを利用することをおすすめします。これにより、小麦アレルギーやグルテン不耐症の方でも安心して美味しい料理を楽しむことができます。
米粉:
米粉は小麦粉の代替品として最も一般的に使用されます。グルテンフリーでありながら、ふんわりとした食感を持ち、パンやクッキー、ケーキなど、さまざまな料理に使用することができます。また、栄養価も高く、食物繊維やミネラルを豊富に含んでいるので、健康的な食事にも貢献します。
コーンスターチ:
コーンスターチはトウモロコシから作られる粉です。小麦粉の代わりに使用することで、料理にとろみやツヤを与えることができます。スープやソース、シチューなどに使われることが多く、グルテンフリーの料理を作りたい時に便利です。また、消化吸収されやすい性質を持っているため、消化が悪い方にもおすすめです。
タピオカ粉:
タピオカ粉はキャッサバ(マニオカ)というイモから作られる粉です。小麦粉と異なり、ノングルテンであるため、グルテンアレルギーやセリアック病の方に適しています。また、水分を吸収しやすく、とろみを付けたい料理やデザートに最適です。プリンやパイ、スピングルムントなど、さまざまなお菓子に使用されています。
これらの代替品は市販されているため、手に入れやすく使い勝手も良いです。ただし、材料の特性によって調整が必要な場合もありますので、レシピや使い方の注意点を参考にしてください。
小麦粉の代わりにこれらの代替品を活用することで、アレルギーやグルテンを気にせずに美味しい料理を楽しむことができます。ぜひ試してみてください。
グルテンフリー食材の選び方については「グルテンフリー食材の選び方。食べていいものいけないもの」で解説しています。あわせて読んでみてください。
5:グルテン不耐症(過剰症)は子供だけじゃなく大人でもなる
グルテン不耐症は、単に子供の問題だけではありません。実際に、大人になってから発症することがあるのです。特に現代社会ではストレスも多く、成人の間でもグルテン不耐症の患者が増えていると言われています。
特に大人の場合、ストレスの影響により免疫力が低下し、グルテン不耐症が発症する可能性が高まります。また、過剰なグルテンの摂取もグルテン不耐症のリスク要因とされています。一般的な日本の食事では、米が主食であり、グルテンを多く含むパンやパスタなどは食べる機会が限られていますが、外食が多い、忙しい社会人の方などは、特に注意が必要です。
もしもグルテン不耐症と診断された場合、積極的にグルテンフリーの食事に切り替えることが重要です。
初めてグルテン不耐症の症状を経験した方は、まずは医師に相談し、適切な検査を受けることをおすすめします。また、正しい知識を持ち、周囲に理解を求めることも大切です。
まとめ
グルテン不耐症は、食生活の見直しによって症状の改善が期待できる疾患です。グルテンフリー食品を積極的に取り入れることで、普段通りの日常生活を送ることができます。ご自身がグルテン不耐症かどうか疑問に思った場合は、一度グルテンフリー食を試してみてはいかがでしょうか。
中山祥子
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