グルテンフリー生活を送るためには、小麦粉を使わない料理が中心になります。しかし、日本人の生活には小麦粉が密接に結びついており、それを避けるのは容易なことではありません。とくに、お菓子づくりやパンづくりなどでは小麦粉の代用が必要となるケースが多いです。

今回は、小麦粉の代用となる粉の中から12種類を選び、その性質やおすすめの料理について紹介します。グルテンフリーの生活を送る方の参考になるとともに、小麦を避けたいと考えている方にも役立つ情報を提供します。

1:小麦粉の代わりを探す前に!知っておきたい基礎知識

「小麦粉の代替品を探す」という話題が当たり前のように語られていますが、小麦粉の代替品を探す前に、何が求められているのかを理解することがとても重要です。今回は、小麦粉とは何か、そして代用品を探す際に注意すべきポイントについて説明します。

  • 1-1:小麦粉とは?
  • 1-2:小麦粉を使う料理
  • 1-3:小麦粉の代わりを探すときの注意点

1-1:小麦粉とは?

小麦粉は、主に小麦を原料とした粉です。小麦は世界三大穀物のひとつで、小麦から抽出した粉は、パン、麺、クッキー、ケーキ、クレープ、パイなど、さまざまな料理に利用されています。小麦粉の特性は、小麦由来のタンパク質であるグルテンの存在によるものが大きく、グルテンは粉と水を混ぜることで伸縮性と粘性をもつ独特な食感をもたらします。

小麦粉のタンパク質の中には、グルテンをはじめとしたものが含まれています。グルテンは小麦のもつ特性を活かすための重要な要素であり、一方でアレルギーや食物不耐性の原因となることもあります。つまり、小麦粉はその特性からさまざまな場面で利用されているものの、一部の方にとっては問題を抱える可能性もあるということです。

1-2:小麦粉を使う料理

小麦粉といえば、まず思い浮かぶのはパンやパスタ、ケーキなどの洋食でしょう。しかし、和食でも、かき揚げや天ぷらの天かす、揚げ物のパン粉、シチューやグラタンのとろみ、うどんやラーメン、お好み焼きなど、小麦粉を使う料理は数えきれないほど存在します。日本の食文化の中でも小麦粉は欠かすことができない重要な存在であり、その代替品を探すことは一筋縄ではいきません。

さまざまな料理に使用されている小麦粉を代替するグルテンフリーの粉は、料理の種類や調理法によってその選択が分かれます。一律におすすめできる代替品はなく、料理の特性を理解し、適材適所で利用することが重要です。

1-3:小麦粉の代わりを探すときの注意点

小麦粉の代用品を探すときの注意点はいくつかありますが、その中でもとくに重要なのが、使用する小麦の代用品によって、料理の出来上がりや風味を決定するという点です。同じ粉でも、その特性により、味や風味、出来上がりの食感は大きく変わってきます。したがって、代用品によっては、予想とは異なる風味や出来上がりになってしまう可能性があります。時間と材料をムダにしないためにも、それぞれの粉の特性を理解し、使い分けることが重要です。

小麦粉の代わりに使われることが多いのは、米粉や片栗粉ですが、これらは小麦粉とは異なり、グルテンを含んでいないため、パンやパンケーキなどグルテンが重要な役割を果たすレシピでは最適な結果が得られないこともあります。そのような料理に使いたいのであれば、グルテンフリーでありながらも小麦粉に近い風味や食感を出すことができるアーモンド粉などを選択するとよいでしょう。

小麦粉の代用品を選ぶ際には、その粉の糖質量も考慮に入れるとよいでしょう。小麦粉の代用品には、糖質の量が少ないものも多くありますので、ダイエットを考えている方にとっては、重要な選択基準となるかもしれません。

つまり、小麦粉の代用品を選ぶ際には、その粉の特性、風味、糖質量などを考慮に入れ、料理の種類やダイエットの目標によって使い分けることが重要です。これらを考えて、自分に合った小麦粉の代用品を見つけていきましょう。

2:小麦粉の代わりに使えるグルテンフリー粉12選

ここでは、小麦粉を代替することができるグルテンフリーの粉類12選を具体的に紹介します。

  • 2-1:片栗粉
  • 2-2:米粉
  • 2-3:そば粉
  • 2-4:コーンスターチ
  • 2-5:コーンミール
  • 2-6:キヌア
  • 2-7:オーツ粉
  • 2-8:アーモンド粉
  • 2-9:ひよこ粉
  • 2-10:タピオカ粉
  • 2-11:おからパウダー

2-1:片栗粉

小麦粉の代用品として最初に紹介するのは、「片栗粉」です。片栗粉は、いわばグルテンフリーの代表です。小麦粉とは異なり、グルテンは含まれていません。一般的な小麦粉の代用品として家庭でも頻繁に利用されているため、すでに手元にある方も多いでしょう。

片栗粉の特性としては、もちもちとした食感を与え、料理のとろみづけに最適です。たんぱく質も多く含まれているため、栄養素としても優れています。しかし、片栗粉は糖質が多いため、ダイエット中の方は注意が必要です。

片栗粉は、その特性を理解した上で、適した料理に使用することが重要です。使用する料理や料理法によって、異なる代用品を選んでください。

2-2:米粉

日本の台所で身近な存在である米粉は、優れた小麦粉の代用品として活躍します。一般的に、米粉は白米を粉砕してつくられ、グルテンフリーであることが特徴です。日本人に身近な米を原料としているため、日本人の口に合った、なじみやすい風味が特徴です。

2-3:そば粉

そば粉はブラン(外皮)を取り、心白の部分だけを細かく粉砕したもので、そばの風味が特徴となっています。独特の味わいと香りが特徴で、小麦粉にはない深みが感じられます。パンケーキやパスタ、どら焼きなど、一般的に小麦粉が使われる料理に代用できるだけでなく、独特の風味が料理に深みをもたらします。

そば粉は、繊維質が豊富なため、満足感を得やすいのも特徴です。とくに「そばがき」は、そば粉と水のみで手軽につくることができ、グルテンフリーのスタンプ料理としてもおすすめです。

2-4:コーンスターチ

コーンスターチは、とうもろこしのデンプンを主成分とする食材です。日本では「片栗粉」とも呼ばれますが、本来は異なるものであり、コーンスターチは「とうもろこしの粉」と呼ばれることが多いです。コーンスターチは、保水性と粘性をもっており、とろみづけや衣づけなどに適している成分です。また、消化がよく、栄養価も高いので、とくにヘルシーな食生活を心がけている方におすすめです。

コーンスターチの最大の特徴である「とろみづけに適している」性質から見て、シチューやスープなどの料理に最適です。たとえば、具材と一緒にコーンスターチを加えて炒めることで、すばやくおいしい炒め物をつくれます。

さらに、コーンスターチはパンやケーキなどのベーキングにも利用可能です。そのため、グルテンフリーダイエットを実施している方や、ヴィーガンの方などがよく使用しています。

2-5:コーンミール

コーンミールは、乾燥玉ねぎを粉状にしたもので、ホットケーキやコーンブレッドに欠かせない材料です。テクスチャーは粗く、料理にコクと旨みを加えます。マイルドな甘さが特徴で、小麦粉の代わりにケーキやクッキー、パンケーキのつくり方を少しアレンジすると、一風変わった風味を楽しめます。

また、コーンミールはパンづくりにも使用されます。とくに、コーンブレッドは小麦を含まないレシピが多く、グルテンフリーのパンとしておすすめです

2-6:キヌア

キヌアは南米原産の植物で、その種子は小麦粉の代わりとしてグルテンフリーの料理に使用します。キヌアは調理法により、粉にしたり、ゆでたり、炒めたりといった使い方が柔軟で、そのまま炒めたり、ゆでたりして主食にしたり、スープやサラダに加えたりと使用方法は多岐にわたります。

キヌアはリスとともに”スーパーフード”とも称され、そのユニークな特徴として、高タンパクで全アミノ酸を含んでいることが挙げられます。全アミノ酸は、体内で生成できないため、食事から摂取する必要があるプロテインの構成要素で、きちんと摂取することで、健康や美容にも寄与します。

満腹感を得やすいキヌア独特の食感は食欲を調節しダイエットにも役立ちます。また、ビタミンB群や食物繊維も豊富なので、健康や美容、ダイエットにも効果的な小麦粉の代用品として、ぜひ取り入れてください。

2-7:オーツ粉

オーツ粉は、小麦粉の代わりとして人気のある選択肢のひとつです。オーツ、つまりオート麦を粉末状にしたもので、とくに朝食のオートミールとして親しまれています。オーツ粉は、食物繊維が豊富で消化吸収がよく、血糖値の上昇を緩やかにするといった健康効果があります。血糖コントロールが必要な方や、ダイエット中の方にも適しています。

オーツ粉の特性として、小麦粉よりも吸水性が高いという点があります。これは、もっちりとした食感のパンやクッキーを作るのに適しています。また、小麦粉よりもたんぱく質が少し多いため、栄養バランスにもよい影響をもたらします。

オーツ粉の利点は、食物繊維が豊富で血糖値上昇を穏やかにし、健康効果が高いことです。また、吸水性が高く、たんぱく質も少し多いため、栄養バランスもよいです。簡単なオートミールから製菓まで、多くのレシピがあります。これらの特性からも、オーツ粉はダイエットや健康維持に役立つ小麦粉の代替品といえます。

2-8:アーモンド粉

アーモンド粉は、アーモンドを粉末にしたもので、そのまま焼き菓子に使えるほど細かく、独特の風味が特徴です。アーモンド粉はそのままパンケーキに混ぜてもよし、グラノーラにしてもよし、とくにグルテンフリーのパンケーキはアーモンド粉がベースとなり、さらに深い味わいを引き立てます。

アーモンド粉には、小麦粉の約10倍の食物繊維と豊富なビタミンEが含まれているため、便秘解消に効果的であるとともに、ビタミンEの強力な抗酸化作用がアンチエイジング効果につながります。さらに、低糖質のためダイエット中の方にもおすすめです。また、アーモンド粉はグルテンを含まないので、小麦粉に対するアレルギーや、食材のバリエーションを増やしたい方にとってよい選択となります。

アーモンド粉はそのまま焼き菓子に使え、かつ低糖質でたくさんの栄養素を含んでいるため、ダイエット中の方や食材のバリエーションを増やしたい方にとって最適な小麦粉の代替品となります。

しかし、小麦粉とは違い、アーモンド粉は焦げやすい性質があるため、料理する際は、焦げ防止のため低温でゆっくりと加熱するように心がけましょう。その点を注意して活用すれば、ヘルシーで豊かな風味の料理を楽しめます。

2-9:ひよこ粉

ひよこ粉は、ひよこ豆(ガーバンゾービーンズ)を粉末にしたもので、グルテンフリーの代用品として注目を集めています。美容と健康によいとされるフルーツ、野菜と並び、スーパーフードともされるひよこ豆。そのひよこ豆を粉末にしたものが「ひよこ粉」です。

まず、ひよこ粉の最大の特長は、たんぱく質が豊富に含まれていることです。たんぱく質は、筋肉をつくり、体の組織を修復する働きがあり、美容と健康に欠かせません。また、ダイエット中の人にとっても、肌のハリや脱力感を感じることなくダイエットを続けられます。

ひよこ粉はビタミンB1やビタミンB2、鉄分などの栄養素も豊富です。これらの栄養素は、美肌効果や疲労回復、血液の健康状態にも寄与するため、美容効果も期待できます。

一方、ひよこ粉は自然なままの食物繊維も豊富に含んでおり、腸内環境を整えて便秘解消にも効果が期待できます。食物繊維は体内で分解されにくく、満腹感を感じやすいためダイエットにも有効です。

2-10:タピオカ粉

タピオカ粉は、タピオカの根からつくられたグルテンフリーの粉です。一般的には、タピオカドリンクのもちもちとしたボールに使われるのが有名ですが、料理にも多様性があります。タピオカ粉はほかの粉と違い、加熱すると透明になります。これを利用して、料理に見た目の違いを与えられます。

また、タピオカ粉はほかの粉に比べて食感がユニークで、とろみをつけるのに適しています。グルテンフリーの和風スープなどに使えば、なめらかな食感を楽しめます。タピオカ粉を使った料理は、独特の食感とおいしさで、グルテンフリー食生活をより豊かにします。これまでとは一味違ったグルテンフリー料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。

2-11:おからパウダー

おからパウダーは、豆腐の製造過程でできるおからを乾燥させ、粉状にしたものです。このおからパウダーは高い食物繊維をもち、糖質が少ないため、ダイエットや健康志向の方にとくにおすすめです。おからパウダーはグルテンフリーでありながら、ちょっとしたヘルシーなスイーツづくりにも最適です。

なお、購入する際は精製度や原材料の品質に注意してください。できるだけ無添加のものを選ぶことが大切です。

3:ダイエットにとくにおすすめなのはこれ!

ダイエットにとくにおすすめなのは、糖質を多く含まない以下のグルテンフリー粉です。

  • キヌア
  • アーモンド粉
  • おからパウダー

まず、キヌアは100gあたり4gという低糖質な食材です。そのほかにも、リノレン酸やオレイン酸といった不飽和脂肪酸を多く含むことから、健康効果も期待できます。

次に、アーモンド粉は糖質が低いだけでなく、食物繊維もたっぷり含んでいます。これにより満腹感を得やすく、食べ過ぎを防げます。

おからパウダーは低糖質で高たんぱくです。ダイエット中でも満腹感を感じながら、適切な栄養バランスを維持できます。さらに、おからパウダーは腸内環境を整える効果もあるため、健康にも配慮したダイエットを実現できます。

これらの粉は、糖質を制限しつつ、栄養バランスを整えてダイエットに取り組みたいという方にとくにおすすめです。料理のレパートリーも広がり、グルテンフリーながらおいしく、健康的な食事を楽しめます。

4:グルテンフリー生活でゆるダイエットをしよう

グルテンフリー生活を始めると、必然的にヘルシーな食生活にシフトすることで、ダイエット効果も期待できます。小麦粉の代わりに使うグルテンフリーの粉は、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、必要な栄養素を多く含んでいるため、身体にやさしい食事になります。

粉類を選ぶときは、全粒粉を選ぶのがポイントです。全粒粉は、繊維質がしっかりと含まれており、満腹感を長持ちさせ、過食を防いでくれます。また、高い栄養価もうれしいポイントです。全粒米粉にはビタミンB1や食物繊維がたっぷりで、ダイエットに最適です。

次に、グルテンフリー食事のレシピを工夫することも重要です。高蛋白でヘルシーなスイーツをつくる方法や、新鮮な野菜を使ったグルテンフリーレシピなど、おいしくて栄養満点な食事をつくる方法はたくさんあります。

また、グルテンフリー生活は、スーパーマーケットや専門店で、グルテンフリー商品を選ぶときの選択肢が広がるため、食生活が一層豊かになるはずです。

このように、グルテンフリー生活は、健康に気をつけつつ、ゆるーくダイエットをするのに最適なライフスタイルです。 ただし、食事だけでなく、適度な運動も忘れずに取り入れて、バランスのよい生活を心がけましょう。毎日のちょっとした努力が、健康的な体への一歩につながります。

まとめ

小麦粉の代わりとなる、グルテンフリー粉12選とその特性について紹介しました。それぞれの粉には固有の特性があり、その特性を活かした料理に使うことで、グルテンフリーの生活がさらに豊かになります。ダイエットを考えている方には、糖質が低いキヌアやアーモンド粉を推奨します。小麦粉とは違った独特の風味が楽しめるので、試してみてください。

さらにおすすめなのは、自分の好きな粉を探すことです。自分好みのグルテンフリー粉を見つけることで、料理へのモチベーションもアップします。また、その粉ごとの独自性を活かすことで、料理のレパートリーも広がり、グルテンフリー生活が、より楽しく健康的になるでしょう。今の生活にちょっとした変化を加えてみてはいかがでしょうか。