「グルテンフリー」と「ノングルテン」、この2つの言葉を聞いたことはありますか?似たように聞こえますが、それぞれの内容にはちょっとした違いがあります。
この記事では、健康意識が高い方に向けて、グルテンフリーとノングルテンの違いをよりわかりやすく説明していきます。この2つの違いを理解することで、自分に適した食品の選択や、健康管理をより的確に行うことが可能になります。
目次
1:ノングルテンとは
まず、ノングルテンとは、グルテンを含まないことを意味します。グルテンは主に小麦などの穀物に含まれるタンパク質のことで、パンや麺の原材料として利用されています。しかし、アレルギーでグルテンが体に合わない人や、セリアック病のような特定の疾患ではグルテンの摂取を徹底して制限する必要があります。
このように、グルテンが体に合わない人が健康的な生活を送るために、グルテンを含まない食品や製品を選ぶことが大切です。
グルテンフリーとは、グルテンを含まない、或いは含有量が少ない食品や製品を示します。これは、より健康的な食事やライフスタイルを送るために、グルテンの摂取を控えたい人向けの食事になります。ノングルテンとグルテンフリーは一見、似ているようにもおもえますが、実は異なる内容となります。次の項目ではその違いについて解説していきます。
2:グルテンとは何か?
グルテンとは、小麦、ライ麦、大麦といった穀物に含まれるたんぱく質の一種で、私たちはパンやパスタなどの食品を通じてグルテンを摂取しています。パンやパスタのモチモチ感を生み出すのは、このグルテンの影響です。
しかし、アレルギーや体質で、グルテンの摂取が難しい人もいます。このため、グルテンについて正しく理解し、自分の体質や健康状態にグルテンが影響しているのかを把握することが大切です。
具体的にどの食品にグルテンが含まれているのかを見ていきましょう。
- 2-1:グルテンが含まれる主な食品
- 2-2:グルテンは体に悪いの?
2-1:グルテンが含まれる主な食品
グルテンが含まれる食品は主に小麦です。私たちの日常の食事に頻繁に登場するパン、パスタ、ケーキ、ビスケット、やピザなどの小麦製品はグルテンを多く含んでいます。日本の麺類でも、うどん、そば、ラーメンなどにもグルテンが多く含まれています。
さらに、小麦だけでなく、大麦やライ麦にもグルテンが含まれています。そのため、ビールやウィスキーのような酒類、ソーセージやハムといった加工品、ソースやドレッシングといった調味料にもグルテンが含まれていることが多いです。
また、たんぱく質としてグルテンが添加されている食品も多く、スーパーマーケットでも頻繁に見かける「グルテンミート」がその一例です。グルテンミートは小麦グルテンを主成分にした食品で、肉類の代替品として利用されています。
このようなグルテン含有食品を食べるときは、グルテン含有量が基準内に制限されている、「グルテンフリー」食品を選ぶか、表示がない場合にも、商品の「製品ラベル」をしっかりと確認して、どのような食材が使われているのかをチェックすることが重要です。グルテンを意識して食生活を改善することで、アレルギーのリスクを減らし、消化器への負担を軽減させることができます。
具体的なグルテンを含む食品はこちらです。
- 小麦製品:パン、パスタ、クッキー、ケーキなど
- 麺類:ラーメン、そば、うどん
- 酒類:ビール、ウィスキー
- 調味料:ソース、ドレッシング
- 肉代替品:グルテンミート
グルテンフリー食材の選び方については「グルテンフリー食材の選び方。食べていいものいけないもの」で解説しています。
グルテンフリーの麺類については「グルテンフリーの麺類|小麦を控える人にはこれがおすすめ」で解説しています。あわせて読んでみてください。
2-2:グルテンは体に悪いの?
グルテンが体に悪いとは一概には言えません。グルテンは、小麦などの穀物に含まれるタンパク質で、パンのモチモチとした食感や、パスタのコシを出す役割をもっています。グルテンが身体に合わない人でなければ、一概に健康を損なうとは言えません。
ただ、いくつかのケースでは、グルテンに対する感受性が問題となることがあります。例えば、自己免疫疾患であるセリアック病を持つ方や、ノンセリアックグルテン感受性(NCGS)の症状を持つ方のように、グルテンに対する感受性が高い方は、自身の免疫がグルテンに反応してしまい、消化器症状をはじめとした、不快な症状を引き起こすことがあります。
グルテンが原因であると感じている方は、症状を軽減する方法として、グルテンの摂取をを制限する、つまりグルテンフリーの食事が有効と言えます。しかし、健康を維持するために、全ての人がグルテンを避けなければならないわけではありません。
グルテンが体に良いか悪いかは、各々の体質や健康状態によるので、一概には判断できません。グルテンが自身の体に適しているかどうかを判断するのにも、グルテンフリー生活を一度取り入れてみることは良いと言えるでしょう。しかし、栄養バランスを崩さないためにも、グルテンフリー生活を選択をする際には、専門家と相談することをおすすめします。
3:ノングルテンとグルテンフリーの違いとは
ノングルテンとグルテンフリーの違いを理解する上で、3つの違いが重要です。それは、表示対象の違い、そしてグルテンの含有量の違い、そして表序目的の違いです。
以下では、3つの違いについて詳しく解説します。
- 3-1:目的の違い
- 3-2:表示の違いとその対象
- 3-3:グルテン含有量
3-1:目的の違い
グルテンフリー表示は、グルテンの摂取が体に悪影響を及ぼすセリアック病やアレルギー、不耐性を持つ方が症状を和らげるために利用されます。
ノングルテン表示は、食品自体にグルテンが含有されていないことを明示しており、グルテンフリーよりも厳密にグルテンを避けたい方への食品選択に利用されます。つまり、グルテンフリーとは、「セリアック病やグルテンアレルギーを持つ人のようにグルテンを摂取できない人が、グルテンを含まない食生活を送る」こと、ノングルテンとは、「グルテンフリーよりも厳密にグルテンを含まない食品を選択し、より健康的な食生活を送る」ことです。
このように、グルテンフリーとノングルテンでは、表示目的ははっきりと異なることが分かります。とはいえ、日本では、いずれの表記もグルテン含有量は極めて低く設定されています。そのため、どちらの商品を選んだとしても、その目的の達成には大差はないともいえます。
3-2:表示の違いとその対象
「ノングルテン」と「グルテンフリー」表示の対象の違いについては、欧州、アメリカ等における「グルテンフリー表示」と、日本の「アレルギー表示」は異なります。グルテンフリー表示は、欧州、アメリカ等の基準であり、セリアック病などのグルテンを摂取できない方への商品選択のためで、グルテン濃度は1kgあたり20ppm未満とされています。日本では「グルテンフリー」の記載基準はありません。小麦はアレルギー表示対象商品のため、10ppm以上の小麦総タンパクを含む食品であれば、「小麦アレルギー」の表示をしなくてはいけません。日本では米粉製品に対しノングルテン基準を定めており、グルテンの含有量1ppm以下をノングルテンとしています。
つまり、「ノングルテン」の表示は、「小麦等のグルテンを含む素材を使っていない」ことを示す製品に対して行われ、「グルテンフリー」の表示は、「グルテンを含んでいない、あるいはほとんど含まない」ことを示す製品に対して使われます。小麦を使用していたとしても、グルテンがほとんど含まれていなければ、「グルテンフリー」と表示することができます。 この表示の違いを理解することは、製品選びにおいて極めて重要なポイントになります。
3-3:グルテン含有量
グルテンフリーとノングルテンは、それぞれの製品のグルテン含有量に違いがあります。欧州、アメリカ等ではグルテンフリー表記は1kgあたり20mg(20ppm)以下、日本の米粉製品のノングルテン表記はは1kgあたり1mg(1ppm)以下と定められています。これは、全くグルテンが含まれていないノングルテンと、原材料にはグルテンを含まないものを使用しながら製造過程でごくわずかにグルテンが混ざり込む可能性のあるグルテンフリーとを、明確に区別しています。
これによって、グルテンに敏感な方や、グルテンを含む食品を控えたい方が、自分のライフスタイルや体調に合わせて選べるようになります。製品の特性を理解することで、より適切な選択が可能になります。
ノングルテンのメリットは、含有グルテンが1kgあたり1ppm以下なので、アレルギー反応を招く可能性がグルテンフリーよりもさらに少ないことです。一方、グルテンフリー製品は、グルテンがごく少量含まれる可能性がありますが、製品の種類が豊富で飽きずに続けやすい利点があります。
また、製品のグルテン含有量は、パッケージ等を確認すれば把握できます。製品によっては、一目でグルテンの含有量が確認できる表示がなされていることもあります。食品の選択に悩んだ際は、この表示をチェックすると良いでしょう。
米粉と小麦粉の違いについては「米粉って何?小麦粉との違いや特徴、効果からグルテンフリーへの影響まで」で解説しています。あわせて読んでみてください。
まとめ
今回のコラムでは、グルテンフリーとノングルテンの違いについて解説しました。ノングルテンはグルテンを含まないことを保証する認証で、セリアック病やグルテンアレルギーのある方にとってはより安心な選択肢になります。
一方で、グルテンフリーは基準値以下であれば、ごく少量のグルテンを含んでいる可能性があるものとなります。そのため、グルテンに対する過敏性が低い方や、より健康的な生活を送るために工夫を考えている方に適しています。
また、対象となる商品の範囲も違います。ノングルテンは穀物なども含むのに対し、グルテンフリーは製造過程でのコンタミネーションを予防する項目が多いです。これらの違いを理解し、個々のライフスタイルや健康状態によって適した選択をすることが大切です。
麻倉瑠海
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