特に日本の暮らしになくてはならない「麦茶」。麦茶はその名の通り、麦を原料としています。だからと言って、必ずしもグルテンを含むとは限らないのです。今回は、その詳しい理由とともに、グルテンフリーの飲み物選びに役立つ情報をお伝えします。
目次
1:麦茶の原材料にグルテンは含まれている?
麦とは大麦のことを指し、大麦には残念ながらグルテンが含まれています。麦茶の場合、主に使用されるのは大麦の種です。グルテンは小麦、大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質のことを指します。麦茶の原材料は大麦であるため、原材料自体にはグルテンが含まれているということになります。
しかし、ここで注意したいのは「原材料に含まれるグルテンが、麦茶に含まれるグルテン量とは必ずしも一致しない」ことです。精製過程でグルテンが減ることや、ほとんど取り除かれることもあります。そのため「麦茶の原材料にはグルテンが含まれている」が、それが麦茶として飲んだ際に摂取するグルテン量とは一致しない場合があるということに注意が必要です。
なお、グルテンに敏感な人、または完全にグルテンを避けたい人のために、グルテンが微量であろうと含まれていることを隠してはいけません。それは、食物アレルギーの人にとっては大切な情報です。私たちが提供する情報は、彼らの生活に直接影響するものなので、全て正確で、信頼できるものでなければなりません。
2:麦茶はグルテンフリーなのか
グルテンフリーの生活を送る上で、麦茶は問題なのでしょうか。「麦茶」と聞いて多くの人が想像する麦茶は、大麦を焙煎したもので、味わい深く、暑い夏の季節には爽やかさを提供してくれる飲み物ですが、グルテンを気にする方には注意が必要です。
具体的には、麦茶の主な原料である大麦はグルテンタンパク質を含んでいます。したがって、小麦アレルギーやセリアック病、あるいはグルテンフリーダイエットを実践している人たちは、通常の麦茶を飲むことは避けるべきです。グルテンが含まれていないことを確認するためには、製品の表示をしっかりと確認し、信頼性の高い情報を参照することが必要です。
さらに、一部の麦茶には「大麦抽出物」という表示があることがあります。こういった表示がある場合、商品がグルテンフリーであるかどうかは明確でないため、飲む前には必ずメーカーに問い合わせることをお勧めします。
グルテンフリー生活を送りつつ、日本の夏の代表的な飲み物である麦茶を楽しみたいという方は、必ず製品の表示を確認し、グルテンフリーであることを確認してから飲むようにしましょう。
3:注意しておきたい交差抗原性とは
交差抗原性とは、化学的な構造が似た異なるアレルゲンが、体内で同一の抗原として認識される現象のことを指します。この現象のため、特定の食材だけを避けていても、その他の食材を摂取することでアレルギー反応を引き起こしてしまう可能性があるのです。特にグルテンフリー生活を送る方々は、こうした交差抗原性により、一見グルテンを含まないように見えても反応を引き起こしてしまう食材に注意する必要があります。
例えば、小麦アレルギーの方々は、小麦以外の穀物でも反応を引き起こすことがあります。このような現象は、雑穀の一部、特にそばにも見られます。そばは特にグルテンフリーとされていることが多いのですが、小麦と似たタンパク質を含むため、一部の小麦アレルギーの方がアレルギー反応を示すことがあります。
このように、単に食材の成分表示を確認し、グルテンを含む食材を避けるだけではなく、個々の体質やアレルギー症状に応じて、穀物特有の交差反応を引き起こす可能性のある食材を適宜避けることも重要となります。
したがって、グルテンフリー生活を送る方々にとっては、食材の選定だけでなく、その飲食物が引き起こす可能性のある反応を理解し、適切な食生活を送ることが重要となります。これは私たちが、より良い生活を送るための重要なステップとなるでしょう。
グルテンフリー食材の選び方については「グルテンフリー食材の選び方。食べていいものいけないもの」で解説しています。あわせて読んでみてください。
4:小麦アレルギーの人が飲めるグルテンフリーのお茶
グルテンフリーの生活を送っている方々にとって、飲むものにも気をつけていただきたいと思います。中でも、お茶について具体的に取り上げていきましょう。
以下では、これらのお茶について解説していきます。
- 4-1:緑茶
- 4-2:ほうじ茶
- 4-3:烏龍茶
- 4-4:玄米茶
4-1:緑茶
グルテンフリー生活を送る上で、安心して飲むことができるお茶として、まず挙げられるのが「緑茶」です。緑茶は、茶葉のみで作られるお茶のため、一般的にグルテンの心配はありません。特に、日本の伝統的な茶文化の一環として日常的に飲まれる「日本茶」は、グルテンフリーダイエットを始めたばかりの方でも安心して楽しむことができます。
なお、緑茶には様々な種類がありますが、そのすべてがグルテンフリーであるわけではありません。味を楽しむためにブレンドされた茶葉には、グルテンを含む小麦などが混ざっていることがありますので、購入の際は製品の成分表示を確認することが重要です。
緑茶は、すっきりとした味わいが特徴で、飲むことでリラックス効果を得られると言われています。また、緑茶に含まれるカテキンは強力な抗酸化作用を持っており、心臓病やがんの予防にも効果的とされています。
グルテンフリーダイエットを行う際は、食事だけでなく、飲み物にも注意が必要ですが、緑茶はその安心感と健康効果から、グルテンフリーダイエットを始める方にとって最初の一歩となる飲み物といえるでしょう。
4-2:ほうじ茶
ほうじ茶は、日本人にとって馴染み深い茶の一つですね。特に、香ばしい風味と心地よい温かさから、冬の季節にぴったりのお茶として愛されています。ところが、ほうじ茶についての誤解があることに気づいていますか?じつは、ほうじ茶は、その名前にも関わらず、小麦や大麦ではなく、なんと緑茶の一種、煎茶から作るお茶なのです。お茶そのものの原料は、茶葉のみなので、原則として、ほうじ茶はグルテンフリーとなります。
ですが、注意が必要なのは、一部加工ほうじ茶やブレンド茶が、味や風味を出すために、麦を加えたり、香料を添加していることもあります。そのような製品はグルテンを含む場合があるため、アレルギー反応を引き起こす可能性があるのです。そこで、ほうじ茶を選ぶときは必ず成分の表示をよく読んで、小麦や大麦が含まれていないことを確認し、グルテンフリーの安全なほうじ茶を選びましょう。
4-3:烏龍茶
烏龍茶はその独特の香りと味わいで人気の茶葉ですが、一般的にはグルテンを含んでいないと認識されています。烏龍茶の原料は茶葉で、麦や小麦といったグルテンを含む原料とは異なります。ですから、基本的に烏龍茶はグルテンフリーな飲み物と言えますので、小麦アレルギーの方でも安心して飲むことができます。
ですが、注意が必要となるのは、製造過程においてです。具体的には、製造工程で同じ機械を使い、小麦製品との交差汚染があるかどうかを検証する必要があります。これにより、グルテンが烏龍茶に含有される可能性があるからです。
また、一部の烏龍茶には香料が添加されている場合があります。その香料の原料に麦や小麦が使われている可能性もありますので、その点も注意が必要です。なお、具体的な製造過程や香料の原料までを把握するには、製品のラベルをチェックするか、メーカーに直接問い合わせるなどすることが一番です。
烏龍茶をグルテンフリーとして安心して飲むためには、製品の詳細をチェックし、必要であればメーカーに直接問い合わせて製造過程や添加物などを確認することが大切です。
4-4:玄米茶
玄米茶は、緑茶の葉に焙煎した玄米を混ぜて作られる、日本の伝統的なお茶です。その風味豊かな味わいと、健康効果から、日本人には欠かせないお茶となっています。
その玄米茶ですが、グルテンフリーの人にとっては安全に飲むことができるお茶となります。その理由は、玄米茶が作られる主成分である緑茶と玄米はいずれもグルテンを含まないからです。緑茶はカメリア・シネンシスという茶の木の葉から作られ、玄米はもちろん米から作られます。
しかし、注意が必要なのは、玄米茶を飲む際に他の飲料や食品と混ぜないことです。玄米茶自体はグルテンフリーですが、一緒に摂取する飲食品によっては、その安全性が脅かされることもあるからです。
具体的には、仮に玄米茶にパンやクッキーなどのグルテンを含む食品を一緒に摂取した場合、その飲食品が体内でグルテンと共に摂取される可能性があります。
したがって、グルテンフリーの飲食を心掛ける際には、玄米茶を含む飲み物も含め、それぞれ単独で飲食することが重要になります。ただし、その他の飲食品に注意を払っていれば、玄米茶自体は安全に飲むことができます。あなたがグルテンフリーの飲食を心掛けているなら、玄米茶はそのようなライフスタイルにうってつけの飲み物といえるでしょう。
5:注意したいブレンド茶について
ブレンド茶に関しては、さまざまな種類が市販されていますが、ブレンド茶の原料によっては、グルテンを含む可能性があります。一般に、ブレンド茶とは複数の茶葉を混ぜ合わせて作られるお茶のことを指します。ブレンド茶には、紅茶だけでなく、ハーブティーやフルーツティーなど、さまざまな種類が含まれます。
例えば、一部のブレンド茶には、風味付けのために小麦や大麦が使用されている場合があります。これにより、そのお茶はグルテンを含むことになります。 そのため、グルテンフリーの生活を送るためには、ブレンドティーの原材料を確認し、小麦や大麦が含まれていないことを確認することが大切です。
ブレンド茶を選ぶ際の具体的な見分け方としては、
- 原材料表示を確認する: 原材料表示に、「小麦」や「大麦」などと明示的に記載されていた場合、そのお茶はグルテンを含む可能性が高いです。
- 風味付けの原料に注目する: “天然風味”や”人工風味”と記載されていて具体的な原材料が記載されていない場合、その成分にグルテンが含まれている可能性があります。この場合、製品パッケージに記載のメーカー問い合わせ窓口に直接問い合わせて確認すると安心です。
以上のことを注意して、自身の生活スタイルに合った選択をすることが、安心してグルテンフリーの生活を続けるためには、重要なポイントとなります。
まとめ
グルテンフリー生活では、飲み物の選択にも工夫が必要です。特に、日本人には馴染み深い麦茶ですが、原材料の大麦にはグルテンが含まれているため、飲む時は注意が必要です。しかし、辛いと思われがちなグルテンフリー生活でも、グルテンが含まれないお茶はたくさん存在します。
グルテンフリー生活者は、麦茶など一部の飲み物に含まれるグルテンに注意しながらも、緑茶やほうじ茶といった日本人に身近な飲み物を楽しむことができます。また、市販のブレンド茶を選ぶ際には、商品パッケージの成分表を確認し、グルテンが含まれていないことを確かめることも大切です。
中山祥子
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