普段よく耳にするたんぱく質について、大切なものだとわかっていても、体にどのような意味があるのか知らない人はいませんか。たんぱく質は人が生きていくなかで不可欠の栄養素であり、体の機能を維持したり、筋肉の修復や疲労回復を促したりなど多くの役割を担っています。
本記事では、たんぱく質の概要や推奨される摂取量・たんぱく質を摂取できるプロテインやサプリメントについてご紹介します。ぜひ一読いただき、たんぱく質の必要性を認識して日々の食生活に活かしてください。
目次
たんぱく質とは
たんぱく質とは、人が日々の食生活で摂取すべき5大栄養素の一つです。筋肉・内臓・皮膚・髪・爪などあらゆる部位を構成し、ホルモン・酵素・抗体など体の機能を調節する機能も持ちます。人に限らずすべての動植物の細胞を構成しており、生きていくのに欠かせない重要な栄養素です。
人の体は37兆個もの細胞で構成されており、たんぱく質は細胞の基本となるものです。全身のおよそ2割がたんぱく質で構成されており、水分を除いた固形分では半分程度をたんぱく質が占めます。
そのようなたんぱく質ですが、アミノ酸という成分で構成されています。アミノ酸そのものは自然界に約500種類存在しますが、そのなかでも人体のたんぱく質を構成するものは20種類あります。そのうち、人間が体内で合成できず食事から摂取しなければならないアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれており、9種類存在します。
必須アミノ酸の効果は以下のとおりです。
- 筋力の維持・向上
- 運動時の疲労軽減
- 安眠効果
動物性たんぱく質
主に肉・魚・卵・乳・乳製品などの動物性の食べ物に含まれるたんぱく質を指します。植物性たんぱく質よりも必須アミノ酸を多く含むため、筋肉の維持や向上に適しています。筋肉量を増やして代謝を上げ、痩せやすい体を作りたい場合に摂取したいですね。
植物性たんぱく質
主に大豆・大豆製品・野菜・果物などの植物性の食べ物に含まれるたんぱく質です。動物性たんぱく質よりも抗酸化作用が高いアミノ酸が含まれています。また動物性たんぱく質よりも脂質が低く、食物繊維など腸に嬉しい成分を含む食材が多いです。
たんぱく質の推奨摂取量は?
たんぱく質の動的平衡
体内のたんぱく質は、常に「合成」と「分解」を繰り返しています。髪や爪が伸びたり抜け落ちたりするのと同様に、筋肉や臓器でも古いものが失われ、新しいものが作られています。たんぱく質が不足すると、このバランスが崩れてしまうため、健康を保つには日々の食事でたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。
一日に必要な摂取量
- 男性:12~14歳は60g/一日、15~64歳は65g/一日、65歳以上は60g/一日
- 女性:12~17歳は55g/一日、18歳以上は50g/一日
参考までに、たんぱく質60gの目安量を以下に明示しましょう。
- 皮付き鶏もも肉350g
- 牛もも肉300g
- 納豆5パック
- 豆腐3丁
- 牛乳2リットル
- 卵7個
運動時には筋肉の修復のためにより多くのたんぱく質を摂取しなければなりません。ですが、必要以上に摂取すると体脂肪に変わり、体内に貯蔵されてしまいます。肥満の原因となりますので、摂り過ぎには注意しましょう。
アミノ酸には11種類の非必須アミノ酸と、体内で合成できず食材から摂取しなければならない必須アミノ酸とに分かれます。9種類もの必須アミノ酸を毎日の食生活で補うのは大変なことのように思えますが、食材のなかには必須アミノ酸すべてをバランスよく含んだものも存在します。これをアミノ酸スコアと呼び、この数値が100の食材はすべての必須アミノ酸を含んでいます。
アミノ酸スコア100の食材のなかでも代表的なものを列挙しましょう。
- 鶏卵
- 牛乳
- 大豆
- 鶏肉・豚肉・牛肉
- 鯵・鮭
上記を日々の食生活に積極的に取り入れるようにしていきましょう。
参考:
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
たんぱく質が不足するとどうなる?
たんぱく質が不足すると、以下の事象が起こります。
- 筋肉量の減少
- 疲労の蓄積
- 基礎代謝の低下
- 免疫機能の低下
- 成長障害
まず、筋肉の修復ができず疲労が蓄積されていきます。その結果、筋肉が減ったり、必要なホルモンが作られにくくなったりして、疲れが残りやすくなります。
基礎代謝(一日に消費される総エネルギーの6割を占める)も低下するため痩せにくい体になります。厚生労働省によると、2020年の国民健康・栄養調査においてもたんぱく質摂取量の減少が懸念されています。2002年から2016年まで、男女ともに0.2%ずつ減少しています。日々の食生活にたんぱく質を摂り入れることを意識しましょう。
参考:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
https://www.j-milk.jp/report/study/h4ogb4000000dnx1-att/JMilk_FactBook_2023_09.pdf
たんぱく質を手軽に補う方法
『一日に必要な摂取量』の項目でも記載したとおり、たんぱく質を補うためには一日にかなりの量の食材を摂取しなければなりません。また、日常的に激しい運動や体を動かす仕事に従事している方は、より多くのたんぱく質摂取が必要です。
そこで、食材のみでの摂取が難しい場合におすすめなのが以下にご紹介するプロテインやサプリメントです。
プロテイン
プロテインはたんぱく質だけを抽出して粉末状にしたものであり、牛乳や水などほかの水分に混ぜて摂取する栄養補給剤です。
たんぱく質は肉や魚・野菜などから摂取できますが、それだけでなく脂質や糖質などほかの栄養素まで摂取してしまいます。プロテインなら効果的にたんぱく質のみを摂取できるため、ボディービルダーや筋力トレーニングをしている人に好まれています。
プロテインは以下3種類に大別されます。
- ホエイプロテイン(牛乳由来で水に溶けやすく体内での消化吸収も早い)
- カゼインプロテイン(牛乳由来たんぱく質が豊富でアミノ酸スコアが高い、水に溶けにくいため腹持ちが良い)
- ソイプロテイン(大豆由来で体内で時間をかけて吸収していくため腹持ちが良い)
プロテインは大袋のタイプと個包装のタイプがあります。大袋ならこれ一つ持ち運べば良いので便利ですが、作る度に粉の量を測る必要があります。反面、個包装タイプなら粉の量を測る必要がなく便利です。
また、柑橘系・コーヒー・ココア味など様々な味のものがあるので、自分好みのプロテインを探してみるのもいいでしょう。プロテインは美味しくないといった意見もありますが、好みの味ならば長続きできるきっかけにもなります。
サプリメント
たんぱく質を手軽に摂取できるものとして、プロテイン以外にも以下のようなサプリメントがあります。
- バータイプ(手に持って食べるタイプのプロテインで、お菓子感覚で食べられる)
- ゼリータイプ(飲み口のあるパウチ包装タイプのプロテインで、食べやすい)
- 飲料タイプ(水分補給も同時に行えるため、運動後の摂取に適している)
プロテインやサプリメントを上手に活用して、たんぱく質を上手に摂取するのもおすすめです。
まとめ
たんぱく質には体の調子を整える作用や、筋肉疲労を軽減させ疲れを取りやすくする効果があります。また、食材から十分な量のたんぱく質を摂取するためには、皮付き鶏もも肉なら350gというように多くの量の摂取を毎日続ける必要があります。もちろんたんぱく質だけ摂取していればいいわけではないため、ほかの栄養素のことも考える必要があります。
現代ではプロテインやサプリメントなどのように、たんぱく質の摂取に特化した食品も存在します。これらを上手に活用し、たんぱく質が不足しがちな食生活に一工夫してみるのはいかがでしょうか。
監修者 原 明子(看護師・保健師)
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