最近、”グルテンフリー”という言葉をよく耳にするようになりました。これは、健康志向に興味を持つ人が増え、特に食材の選び方に敏感になっている方が多いからではないでしょうか。
グルテンフリーとは、グルテンを含む食品を摂取しないようにするライフスタイルのことです。グルテンフリーが注目されている背景には、「グルテンが体の不調の原因になることがある」という認識が大きく関わっています。
ここでは、グルテンが体にどのような影響を持つのか、また、大麦にはグルテンが含まれるかどうかが特に気になる人に向けて、具体的な食品の紹介も含めて詳しく解説していきます。
目次
1:大麦(もち麦や押し麦)とは
大麦(もち麦や押し麦)は、麦類の一世代で、ビールやウィスキーの原料として広く利用されています。また、大麦は、その食物繊維量の高さや低カロリーであることからダイエット食としても注目されている食材です。
一口に大麦とに言ってもその種類はさまざまです。大麦とよく比較される「小麦」との違いについて見ていきましょう。
- 1-1:大麦にグルテンは含まれるの?
- 1-2:大麦と小麦の違いは?
1-1:大麦にグルテンは含まれるの?
さきほど「大麦は基本的にグルテンを含まない」とお伝えしましたが、実はそうでもないのです。大麦は生産工程や加工過程でグルテンが混入する可能性がありますが、その場合でもグルテンの含有量は非常に少量で、人体にはほとんど影響を及ぼさない程度です。これが、「大麦はグルテンを含んでいない」と言われる所以なのです。
多くのグルテンフリー製品では、「グルテンを20ppm(1,000,000分の20)以下含む」とされています。この基準から見ると、実は大麦はグルテンフリーとは言えないのです。
しかし、小麦アレルギーとは異なり、セリアック病(グルテンが原因で小腸が炎症を起こす病状)の患者さんにとって、小麦と大麦の違いは非常に重要です。小麦に含まれるグルテンは、特に小麦中のグルテニンとグリアジンがセリアック病を引き起こすため、グルテンの含有量が少ない大麦の摂取が問題になることはほぼありません。
1-2:大麦と小麦の違いは?
まず始めに、大麦と小麦の基本的な違いについて解説します。大麦と小麦は、形状・色・食材としての使用方法など、いくつかの面で違いが見られます。
形状・色:大麦は、一般的には小麦よりも少し大きめで、濃い茶色をしています。一方、小麦は白っぽく、形状は大麦よりも小さく、細長い形をしています。
食材としての使用方法:大麦は、主にスープや煮物、おかゆなどの材料として利用されます。一方、小麦はパンやケーキ、クッキーなどのベーキングに広く利用されています。
以上の違いは一目でわかるものです。ところが、グルテンの含有量については、あまり知られていません。大麦と小麦の間には、グルテンの含有量に違いがあります。小麦にはグルテンが大量に含まれている一方で、大麦にはほとんど含まれていません。また、大麦の一部にはグルテンを多く含む種類があるようです。
以下では、大麦と小麦の違いだけでなく、各種食品におけるそれぞれの利用方法や、両者間のグルテン含有量について詳細にお伝えします。アレルギーを持つ人や、グルテン含有量を把握したい場合は、これを機に自身の食生活について再考してみてはいかがでしょうか。
2:グルテンは体の不調の原因になる?
グルテンは、小麦などの穀物に含まれるタンパク質で、パンやパスタのもっちりとした食感を作り出す成分として知られています。しかし、「グルテン」と聞くと不調の原因成分と考える人が多いようです。これはなぜでしょうか?
これには、グルテンの消化が人体にとって困難であるという背景があります。グルテンは、非常にタフなタンパク質であり、消化酵素によって完全に分解するのは難しいと言われています。そのため、一部の方には体にとって過酷な状態を作り出す可能性があるのです。
具体的には、グルテン過敏症、グルテン関連障害、またはセリアック病という病状を引き起こすことがあります。これらはグルテンを消化できず、腸壁に炎症を引き起こす症状であり、体へのダメージも大きいとされています。特にセリアック病は、グルテンに含まれる一部のタンパク質に対する遺伝的な拒否反応がある人に起こります。そのため、セリアック病の方は、一生グルテンフリーの食生活を続けることが必要となるのです。
しかし、いくらグルテンが体に悪いと言っても、全ての人がグルテンフリーを選ぶ必要はありません。全ての人がセリアック病を持っているわけではなく、また、グルテンを含む食品を摂取しても体へのダメージを感じない人も多いのです。
3:大麦が使用されている具体的な食品とは
大麦はその特異的な風味と食物繊維が豊富なことから、各種料理の重要な成分として利用されています。具体的に何に使用されているのか、いくつか例を挙げてみましょう。
まず、有名なものとしてはビールの原料としての利用が挙げられます。ビールは大麦を麦芽にし、その麦芽糖を発酵させて作られます。麦芽糖は大麦の淡白な風味を生み出し、ビールの味わいを醸し出します。
さらに、大麦は「麦茶」の原料としてもよく使用されます。麦茶に使用される大麦は炒ってあり、その炒った香ばしさが麦茶の特徴的な風味を作り出すのです。
また、大麦を挽いた小麦粉は「大麦粉」もしくは「大麦フラワー」と呼ばれ、パンやケーキなどのベーキングに幅広く使用されます。大麦粉は小麦フラワーとは異なり、ふやけやすい特徴があり、風味が繊細なパンやケーキを作るのに適しているからです。
また、健康志向の強い方やダイエット中の人々には「大麦グリット」が人気です。大麦グリットは、茹でたり炒めたりしてグラノラやサラダのトッピングとして利用されます。
最近では、大麦を粉末にした「大麦若葉」が栄養ドリンクの成分として注目を浴びています。大麦若葉は大麦の若い葉を乾燥させたもので、食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含んでいるのです。
以上のように、大麦は日々の食生活の中でさまざまな形で提供されており、その食物繊維等の栄養価と風味から、さまざまな料理や飲み物に大いに活用されています。その一方で、大麦には少量のグルテンが含まれているため、小麦のようにパンやケーキなどのベーキングには向いていません。グルテンがアレルギーの原因となる方もいるため、食材の選択には注意が必要です。それぞれの食材について、グルテンの含有量や利用方法などを把握したうえで、自分にとって最適な食材を選択しましょう。
グルテンフリー食材の選び方については「グルテンフリー食材の選び方。食べていいものいけないもの」で解説しています。あわせて読んでみてください。
4:近年注目されているグルテンフリーとは
グルテンフリーとは、小麦、大麦、ライ麦など、グルテンを含む食材を使わない食事法のことです。これは、グルテンに対するアレルギーを持つ方や敏感な人々のためのダイエット法として、健康志向の強い人々の間で注目を集めています。
具体的には、グルテンを可能な限り食事から排除し、米、とうもろこし、ソルガム、アマランス、キヌア、タピオカなどのグルテンフリーの穀物を選びます。これらの穀物は、大麦と異なり、グルテンの含有量が低いか、もしくは全く含まれていないため、選ぶ穀物の範囲が広がることで、栄養バランスを保つことが可能になります。
しかし、グルテンフリーの食事法が健康に良いと一概には言えません。食事からグルテンを排除することで、必要な栄養素を摂取できなくなってしまう可能性があるからです。そのため、一部のアレルギー持ち以外の人々にとっては、栄養バランスを取りながらグルテンを減らすというアプローチが適していると言えます。
その他にも、グルテンフリーの食事法がスポーツ選手の身体能力の向上に有効であるとする研究結果もあります。
以上のように、近年注目されているグルテンフリーは、複雑な側面を持つ食事法です。一人ひとりの体質やライフスタイルにより、適切なアプローチが変わってくるため、自らの健康への影響をはかる適切な知識を持つことが重要となってきます。
グルテンフリーダイエットについては「グルテンフリーダイエットで痩せる理由とは?注意点や具体的なやり方まで紹介」で解説しています。あわせて読んでみてください。
まとめ
今回の記事では、大麦とグルテンについて詳しく解説しました。大麦には基本的にグルテンが含まれていませんが、生産工程や加工過程でグルテンが混入する可能性もあります。
さらに、大麦が具体的にどのような食品に使われているか、グルテンフリーがなぜ近年注目されているのか、といった話も取り上げました。このように、食品の成分や食べ物の影響について理解することは、健康管理にとって非常に重要なのです。食材の選択や調理方法、食生活の全体を見直すことで、正しいグルテンフリー生活を送ることが可能です。アレルギー症状を軽減し、より健康的な生活を送ることができるようになります。
今後も、少しでも皆様の健康的な食生活に寄り添えるよう、さまざまな視点からの情報提供を行って参りますので、ぜひご活用ください。
中山祥子
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