「グルテンフリー」の生活は身体に優しく、健康的なライフスタイルとして注目を集めています。グルテンとは小麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種で、パンや麺のもっちりとした食感を生み出すことができます。

しかし、体質によっては、グルテンが消化吸収を妨げ、アレルギー反応や腸内環境の乱れを引き起こすこともあります。そのため、健康的な体を目指す人の中には、グルテンフリー生活を取り入れるために、小麦を原料とした食品を普段の食生活から除外している人もいます。

グルテンフリー生活をしているからと言って、あれもこれも食べることができないというわけではありません。彩りよく、栄養バランスの良い美味しい食事を、グルテンフリー生活でも楽しむことは十分可能です。ここでは、グルテンフリー生活におすすめの主食を紹介します。

1:【基本的な考え方】グルテンフリー生活中は小麦を含む食材を避けましょう

グルテンフリー生活を始める時、まずは「小麦を含む食材を避ける」ことを心掛けましょう。小麦はグルテンを多く含むため、小麦を主成分とするパンやパスタ、麺類などは控えるべきです。

最近では、より健康的な生活を送るために「グルテンフリーの主食」を求める人が増えてきています。日本人の主食は伝統的に米を摂る人が多いですが、近年ではパンを主食とする生活スタイルも増えてきており、それに伴い小麦を摂取する機会も増えています。

日常的に食べているものを避けるのは難しいかもしれませんが、グルテンフリー生活には身体の様々な症状を改善することができる可能性があります。そのため、グルテンフリー生活を意識することで、健康的な食材に視野を広げ、新しい食事に出会える機会も増えるでしょう。

グルテンフリー食材の選び方については「グルテンフリー食材の選び方。食べていいものいけないもの」で解説しています。あわせて読んでみてください。

2:小麦を含む食材に対する考え方

グルテンフリー生活には、小麦を含む食材への理解と対応が必要不可欠です。なぜなら、小麦を含む食事は非常に多く、日常生活から全ての小麦製品を除外することは難しいからです。特に、パンやパスタなどの主食は小麦粉で作られている事が多いので、小麦を避けることを難しく感じるかもしれません。

しかし、このように主食だけに焦点を絞って小麦を避けることは比較的取り組みやすく、効果も見込めます。主食を意識するだけでも、小麦の摂取の大部分を減らすことが可能です。

ここで大切なことは、調味料などに関しては、それほど厳しく考える必要がないという点です。これは、調味料に含まれるグルテンが一日のグルテン摂取量に大きな影響を与えることはないからです。そのため、最初は主食から小麦の摂取を減らすという意識を持ち、余裕が出てくれば、徐々に他の食材へと視野を広げるという順で進めていくと無理なくグルテンフリー生活に移行することができます。

以下では、重要ポイントを解説します。

  • 2-1:まずは主食から小麦摂取を控えよう
  • 2-2:調味料等などは気を使いすぎずに

2-1:まずは主食から小麦摂取を控えよう

グルテンフリー生活を始めるための第一歩は、小麦摂取を控えることです。特に、食事の中心となり、小麦を多く含む可能性が高い主食の見直しが重要です。主食から小麦を排除するには、穀物全てを排除するのではなく、穀物の置き換えという考え方が鍵となります。小麦は穀物の中でも特にグルテン含有量が多いです。そのため、穀物類を小麦以外のものに置き換えて主食を取ることがグルテン量を減らす有効な方法となります。

たとえば、米、とうもろこし、キヌアなどは小麦を含まず、栄養価も高いのでおすすめです。また、最近ではグルテンフリー専用のパンやパスタなどもあるので、これらを取り入れても良いでしょう。しかし、一度に全ての食事を変える必要はありません。まずは一食、主食から無理なく始めてみることをおすすめします。

2-2:調味料等などは気を使いすぎずに

グルテンフリー生活において全ての食事で完全にグルテンを排除する必要はありません。グルテンの多くは主食に含まれているため、やはり主食を意識してグルテンを除外することが有効です。主食以外にも、グルテンが含まれている調味料もありますが、それほど気にする必要はありません。調味料に含まれるグルテンの量と、主食に含まれるグルテンの量を比較すると微々たるものであり、コストパフォーマンスを考慮すると、主食の置き換えが圧倒的に効果が高いからです。

グルテンアレルギーの方や、セリアック病などでグルテンの摂取が全くできない方、健康意識が高く、完全なグルテンフリー生活を目指している方は、調味料に含まれるグルテンまで気を付ける必要があります。

しかし、一般的な方で、より健康的な生活を目指したいという方は調味料まで意識する必要性は低いです。全ての調味料を厳密にチェックすることは生活の質を下げる可能性があり、グルテンフリー生活を続けることに嫌気がさしてしまう可能性も考えられます。自分の体調や目指す目標に合わせて、日常生活に負担のない可能な範囲で、必要な調整を行うことが大切です。

3:グルテンフリー生活におすすめの主食

全粒粉はグルテンフリー?小麦粉との違いや代替品についてグルテンフリー生活での主食は、小麦粉を使わない食事がメインになります。日本人にとっては朗報で、和食はグルテンフリーのライフスタイルに非常に適しています。主食の米や、米を元にした麺類はほぼグルテンを含んでいないので、米に合わせたおかずの選択も容易です。また、グルテンを含まない麺で作るパスタ、全粒粉100%の十割蕎麦、ベトナムの伝統的な麺料理フォーなども、グルテンフリー生活では外せない食材です。

朝食はどうしてもパンじゃないとダメ、という方には、米粉を使用したパンがおすすめです。これは小麦を一切使わずに代わりに米粉で作るパンで、小麦粉パンと比較しても、食感や風味はまったく落ちません。ここで紹介した食材を主食とすることで、グルテンフリー生活中の食事にも幅が生まれ、さらに充実したものになります。

以下では、これらのポイントをさらに詳しく紹介していきます。

  • 3-1:日本食とグルテンフリー生活
  • 3-2:グルテンフリー麺を使ったパスタレシピ
  • 3-3:十割蕎麦
  • 3-4:フォーについて
  • 3-5:朝食に最適!米粉パン

グルテンフリーの朝食例については「グルテンフリーの朝食例|簡単レシピやコンビニで買えるものまで」で解説しています。あわせて読んでみてください。

3-1:日本食とグルテンフリー生活

グルテンフリー生活を始める方にとって日本食は取り入れやすい食事スタイルと言えます。日本では伝統的に、主食に米>を使用しています。グルテンを含まない米を主食とすることで、簡単にグルテンフリー生活を送ることができます。日本食とグルテンフリーは非常に相性が良いと言えます。

日常的に食べられるおにぎりも良い選択肢となります。これらは具材と味付けを工夫すればバリエーションが増えて飽きません。ただし、具材に小麦が含まれていないかをチェックしましょう。主食を少し意識するだけで、快適なグルテンフリー生活を堪能することができます。

3-2:グルテンフリー麺を使ったパスタレシピ

パスタが大好きな方でも、グルテンフリー生活を送ることは可能です。現在、米やトウモロコシ、キヌアを使用したグルテンフリー麺も多く販売されています。品質も申し分なく、トウモロコシや米をベースにしたパスタは、小麦パスタと遜色ないコシがあります。

料理方法も特に変わりません。ペペロンチーノなら、麺を茹で、にんにくをオリーブオイルで炒めます。茹で上がったパスタを加え、ソースを絡め、最後に唐辛子やパセリをトッピング。ただし、ソースの成分に小麦が含まれていないかの確認は必要です。市販のソースを使う場合は特に注意が必要です。

自分でソースを作ることで、より確実なグルテンフリーパスタを楽しめます。 また、自炊であれば、自分好みの味に調整も可能です。乾燥パスタとは別に、フレッシュタイプのグルテンフリー麺もあるので、パスタ好きの方は是非試してみてください。

3-3:十割蕎麦

グルテンフリー生活におすすめしたい食材の一つが「十割蕎麦」です。十割蕎麦の原料は蕎麦の実だけで、小麦は一切含んでいません。また、蕎麦には抗酸化作用のあるルチン(ポリフェノールの一種)が豊富に含まれており、免疫力アップに効果があります。

大切なのは、すべて蕎麦の実だけで作られている「十割蕎麦」を選ぶことです。一部の蕎麦には小麦粉が混ぜられていることもあるため、成分表示を確認し、小麦が含まれていない「十割蕎麦」を選ぶことがグルテンフリー生活を成功に導く鍵となります。新鮮なネギやわさびを添えて、麺つゆで食べる十割蕎麦は、栄養価も高く、グルテンフリー生活に最適な食材となるでしょう。

3-4:フォーについて

代表的なベトナム料理であるフォーは米粉で作られた麺を使用していて、グルテンフリー生活を考えている方にピッタリの主食です。

フォーの麺は、水で練った米を薄く伸ばして蒸し、太くカットされています。麺の太さや長さはお店により異なり、そこから生まれる食感の違いも魅力の一つです。麺の原料は米のため、グルテンは一切含まれません。小麦アレルギーや、グルテンフリー生活中の方も安心して食べることができます。

煮込んだ骨から作ったスープで味わうこの料理は、ベトナム全土で愛されています。さらに、ミントやベトナムコリアンダー、レモンなどのハーブをトッピングすることで、一段と風味を引き立てます。

牛肉や鶏肉などの動物性たんぱく質も利用されますが、これらのたんぱく質にはグルテンを含まないため、スープ、具材を含めてグルテンフリー生活に最適です。

グルテンを避けたい方にとって、フォーは味わい深く、栄養バランスにも優れた主食の一つと言えます。

自宅でフォーを作る場合は、スープで使用する出汁がグルテンを含まないことを確認することが大切です。市販の出汁の種類には、かつおや昆布、鶏ガラなどがありますが、中には小麦が含まれている製品もあるため、出汁には特に注意を払いましょう。

3-5:朝食に最適!米粉パン

グルテンフリー生活の朝食にぴったりの主食として、「米粉パン」をおすすめします。小麦粉を使用せずに米粉を主成分とした米粉パンは、グルテンフリーの食生活を実践している方、また小麦のパンが合わない方にとって最適な選択です。米粉パンの特徴は、香ばしい米の風味ともっちりとした食感です。

米粉パンはスーパーやオーガニック店で購入可能ですが、手作りしてみるのも試す価値があります。米粉、ドライイースト、砂糖、塩、水、オリーブオイルのみで簡単に作れます。

具体的な作り方は以下の通りです。

  1. 米粉とドライイーストを混ぜます。
  2. 別のボウルに砂糖、塩、水を混ぜ、①のボウルに加えます。
  3. 次に、オリーブオイルを加えてよく混ぜ、その後発酵させます。
  4. 発酵した生地をオーブンで焼きます。

この作り方を参考にして、自家製の米粉パンを楽しんでみてください。ヘルシーで美味しい米粉パンで、朝食をより豊かにしましょう。

小麦粉と米粉の違いについては「米粉と小麦粉の違いとは?違いを知って食生活をより豊かにしよう」で解説しています。あわせて読んでみてください。

4:グルテンフリー生活中に気を付けたい食品

グルテンフリー生活中に最も気を付けたい食べ物は小麦を主成分とする食品です。パン、麺類といった主食だけでなく、クッキー、ケーキなどのデザート食品にも小麦が使われているため、グルテンが含まれています。

さらに、ビールにもグルテンが含まれるため、通常のビールは避けたほうが良いでしょう。また、調味料にもグルテンが含まれていることがあり、特に醤油や味噌、中華風調味料には小麦が使われていることが多いです。前述の通り、調味料はそこまで気にせず、まずは主食に注意してグルテンフリー生活を送ってみましょう。

小麦だけでなく、ライ麦や大麦もグルテンを含む穀物で、パンやビール、さらにはウイスキー等の一部のお酒にも含まれており、注意が必要です。

揚げ物を調理する際に使用するから揚げ粉やパン粉、一部のプロテインバーやエネルギーバーもグルテンを含む可能性があるため、可能であれば、控えるようにしましょう。

グルテンフリー生活は、食材選びや調理方法に工夫を必要としますが、グルテンを含まない食材もたくさんあり、美味しい食事を楽しむことは十分可能です。厳しく制限を加えるだけでなく、食事を楽しむことも大切なので、制限する一方でバラエティ豊かな食事を心掛けましょう。

まとめ

グルテンフリー生活への切り替えは、主食の選択に悩むかもしれません。しかし、視野を広げてみると、小麦を使わない主食はいろいろあります。 その中でも、特におすすめするのは米、10割蕎麦、フォー、米粉パンなどです。これらは、美味しいだけでなく、小麦不使用で作ることができます。パスタが好きな方は、グルテンフリー麺を試すのもおすすめです。グルテンテンフリー麺を使用することで、グルテンを避けつつも、料理の選択に幅が生まれ、様々な料理を楽しむことが可能になります。

グルテンフリー生活で重要なことは、小麦が含まれている可能性の高い食材は避けることです。また、小麦が使われている調味料にも注意するとより良いでしょう。

グルテンフリー生活への切り替えは容易なことではありませんが、日本食を活用することで、健康的で充実した食生活を送ることができます。自分にとって最適な食生活を見つけるため、様々なグルテンフリー食品を試してみてはいかがでしょうか。

グルテンフリーと日本人の関係については「グルテンフリーは日本人にとって意味がない?本来の目的から意味のある人ない人を解説」で解説しています。あわせて読んでみてください。