グルテンフリー生活に関連して、もち麦について聞いたことはありますか?最近では、豊富な栄養素と優れた満腹感から、ダイエットをはじめとする健康生活に興味がある方にその存在が広まりつつあります。

ところで、もち麦とはどのような種類の麦かご存じでしょうか。一見健康的に映るもち麦が、実はある種のグルテンを含む可能性があると聞いて驚かれるかもしれません。この記事では「もち麦が実はグルテンフリーではない可能性」とその背景について、また快適なグルテンフリー生活にはどのような知識が必要なのか、を解説します。

ここでひとつ、注意することは「もち麦がグルテンフリーではない」という情報が必ずしもすべての方に影響を及ぼすわけではない、という点です。グルテンに対する過敏性をもつ人、とくにグルテンによる腸壁へのダメージが懸念されるセリアック病の方にとっては重要な情報であり、正しい選択をするための第一歩です。

以下では、もち麦とグルテンフリーについて、その特性や注意点などを詳しく紹介します。毎日の食生活に役立つ情報を紹介しますので、最後まで読んでください。

1:もち麦とは

もち麦は、とくにダイエットや健康志向の高まりとともに注目を集めるようになった食材です。もち麦とは、大麦の一種で、もちもちとした食感が特徴です。大麦は古代から食べられてきた穀物で、その中でももち麦は化学肥料を使わずに育てられるため、無農薬であり、また低温でゆっくりと時間をかけて乾燥されています。そのため、もち麦は高い栄養価をもちつつも安全に楽しめる食材といえます。

また、もち麦は炭水化物でありながらも低GI食品であり、血糖値の急激な上昇を防いでくれます。さらに、食物繊維が豊富で満腹感を得やすく、ダイエットにも効果があるとされています。また、食物繊維は腸内環境を整える効果もあり、健康に対する効果も期待できます。以下では、もち麦がもつ特性や、グルテンフリーとの関係について紹介します。

以下では、次のポイントについて解説します。

  • 1-1:もち麦は大麦の一種
  • 1-2:もち麦にダイエット効果がある?

1-1:もち麦は大麦の一種

もち麦は、一般的によく知られている大麦の一種で、とくに健康志向の人の間で人気が上昇しています。大麦は種類が豊富にあり、なかでももち麦は独特の食感が特徴です。もち麦が大麦の一種であるにもかかわらず、特別に好まれる理由のひとつは、もちもちとした食感があり、食べ応えがあるからです。

  • もち麦の特徴
  • もち麦の食感の秘密

まず、もち麦の最大の特徴である独特の食感について見てみましょう。一般的な大麦とは異なり、もち麦はもっちりとしています。これは、大麦の種類による違いで、もち麦は「糊質大麦」とも称され、その名のとおりもっちりとした食感が特徴なのです。

もち麦の食感の秘密は、ふつうの大麦と違い、特殊なタンパク質が含まれているからです。このタンパク質があるおかげで、もち麦はふつうの大麦よりももっちりとした食感が得られるのです。このため、食べたときの満足感が高く、ダイエット中の人にも人気があります。またこのタンパク質が、もち麦がほかの大麦と違った特性をもつ要素で、食物繊維が豊富で、ダイエット効果が高いとされています

なお、もち麦に含まれるタンパク質にはグルテンは含まれていませんが、もち麦は大麦の一種であるため、グルテンアレルギーの人は食べる際に注意が必要です。なぜなら、もち麦の加工過程でほかのグルテンを含む穀物と一緒になり、グルテンが混入する可能性があるからです。これはすべてのもち麦に共通する問題で、これについては後述します。

1-2:もち麦にダイエット効果がある?

もち麦ダイエットが注目を浴びている理由は、もち麦がもつ多数の健康効果にあります。その中でもとくに注目すべきは、もち麦のもつ高い「食物繊維」によるダイエット効果です。

もち麦はほかの麦類に比べて食物繊維が非常に豊富で、その中でもとくに水溶性食物繊維が多い点が特徴です。この水溶性食物繊維は、水に溶ける性質を持ち、水を含むとゲル状に膨らむ特性があります。これが胃の中で広がり、満腹感を感じさせ、食事の量を自然と減らす効果があります。さらに、水溶性食物繊維は腸にとどまる時間が長いため、腸内環境も整える助けになります。

だからこそ、もち麦はダイエット効果だけでなく、美肌効果や便秘解消、血糖値の安定にも効果的な食材です。 このようにダイエットに重要な食物繊維を多量に含むもち麦は、健康的で効果的なダイエットを目指す方にとって欠かせない食材といえるでしょう。

この特性を活かし、もち麦を日常的に食事に取り入れることで、健康的に体重を減らすためのサポートを受けられます。もち麦だけに頼らず、バランスの取れた食事、適度な運動との組み合わせが大切です。

もち麦はグルテンを含む食品なので、グルテンに反応するアレルギーや自己免疫疾患のある方は飲食に注意が必要です。とくに、グルテンに対する反応が強い方は、もち麦にあうかどうかを医療専門家に相談することをおすすめします。

グルテンフリーダイエットについては「グルテンフリーダイエットで痩せる理由とは?注意点や具体的なやり方まで紹介」で解説しています。あわせて読んでみてください。

2:グルテンフリーとは

グルテンフリーとは、グルテンと呼ばれる一種のタンパク質を含む食品を摂取しない食事の形態を指します。グルテンは小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれており、パンやパスタなどにも含まれています。

このグルテンには、私たちの身体に与えるさまざまな影響があります。たとえば、小麦アレルギーなどの食物アレルギーの原因となります。また、一部の人にとっては消化を難しくする可能性もあります。

小麦アレルギーについては「小麦アレルギーとは?小麦による体へのいい影響、悪い影響について」で解説しています。あわせて読んでみてください。

一方で、グルテンフリーにはさまざまな効果があります。まず、健康やダイエットのために食事を制限する人にとって、グルテンフリーは重要な選択肢のひとつです。グルテンを含む食品を避けることで、アレルギー症状を抑えられます。また、消化がよくなることで体調の改善を図ることも期待できます。

この後のセクションではもち麦にグルテンが含まれているのか、またどのくらいのレベルで含まれているのかという疑問について深掘りします。
具体的に、次のポイントについて解説します。

  • 2-1:グルテンが体に与える影響
  • 2-2:グルテンフリーの効果

2-1:グルテンが身体に与える影響

グルテンとは、麦類に含まれるたんぱく質で、パンやパスタなどに使われる小麦に多く含まれています。これが身体にどのような影響を与えるのでしょうか。一部の人にはグルテンが消化不良や腸内環境の悪化を引き起こし、身体に不快な症状を出すことがあります。これをグルテン不耐症と呼びます。たとえば、だるさや疲れ、頭痛、消化器系の不調などはグルテンが原因である可能性があります。

さらに、グルテンによる消化不良は、腸が腫れて栄養の吸収が悪くなる「セリアック病」を引き起こすこともあります。セリアック病は、グルテンが原因で小腸の粘膜が炎症を起こす病で、症状がひどくなると腸内に栄養を取り込むためのヒダがなくなり、栄養障害や貧血などを起こすことがあります。

加えて、ここで触れなければならないのが「交差抗原性」です。これは、グルテンを含まない食品でも、身体がグルテンと誤認して反応してしまう現象のことを指します。たとえば、コーンスターチやミルレットなど、グルテンを含まない植物の一部が、体内での誤認反応を引き起こすとされています。

これらのことから、グルテンは一部の人にとって身体への影響が無視できないものとなるのです。

2-2:グルテンフリーの効果

グルテンフリーの効果とは、心身の健康が向上すると期待される効果のことを指します。それは、グルテンが含まれる食品を摂取することで起こるさまざまな身体的不調を回避できるからです。一部の人にとっては消化器系の不調、アレルギー反応、肥満、とダイエット効果が期待できます。

ひとつ具体的な例を挙げましょう。グルテンによる身体への影響は、たとえば、調整障害やアレルギーをはじめとする体調不良につながることが認められています。それらの症状を軽減したり、発生を防ぐためには、グルテンフリーの食事法が効果的です。

さらに、グルテンフリーの食生活には、「消化器系の機能を回復させる」、「体調を円滑にする」、「肥満を避ける」などの効果が報告されています。中でも、肥満防止の効果はダイエットに取り組む方にとってはとくに興味深い効果でしょう。

しかし、ここでひとつ重要なことを忘れてはならないのが、「グルテンフリーダイエットはすべての人にとってベストな食事法とは限らない」ということです。それは、体質や生活習慣など、さまざまな要素が関係しているからです。グルテンフリーの食事法をスタートする前には、自分の体質やニーズをしっかり把握した上で、適切なアプローチを選ぶことが大切です。

なお、グルテンが含まれていてもとくに不調を感じない人もいるため、グルテンフリーを選択する理由は人それぞれです。健康的な食生活の一環として、また自分自身の身体と向き合うきっかけとして、グルテンフリー食を考えてみてはいかがでしょうか。

グルテンフリーの効果については「グルテンフリーの効果が出るまでの期間について|グルテンが抜けるまでの期間もお伝えします」で解説しています。あわせて読んでみてください。

3:もち麦にグルテンは含まれていないが注意が必要

もち麦は、その名のとおり麦(穀物)の一種であり、麦類の成分としてグルテンが一般的に含まれています。しかしながら、もち麦自体にはグルテンという成分は含まれていません。そのため、グルテンフリーの食生活を求める方にとって、もち麦は一見魅力的な食材に見えるかもしれません。

しかしながら、一般的な穀物とは異なり、ほかの穀物と一緒に栽培、収穫、加工されることがあります。これにより、もち麦がほかの穀物からのグルテンを含んでしまっている可能性があるのです。これを交差感染と称し、これが食材選びにおけるグルテンフリーの難しさのひとつです。

もち麦をグルテンフリーの食生活に取り入れたい場合、その生産過程がグルテンを含む穀物と完全に分けて行われていることを確認することが重要です。したがって、商品のパッケージにグルテンフリーと表示されているものを選ぶようにしましょう。

これは、もち麦だけでなく、ほかのすべての穀物にも当てはまる事項で、すべての穀物はその生産過程によりグルテンを含む可能性があります。したがって、グルテンフリーの生活を考えている方は、商品の選び方に関してその点を十分に考慮に入れるべきです。

4:押し麦やオーツ麦との違いは?

もち麦をほかの麦と混同していませんか?麦には数多くの種類があり、それらの違いを把握することは、グルテンフリーの生活をうまく進めるために非常に重要な要素です。

まず、押し麦ともち麦の違いについて考えてみましょう。押し麦は、小麦の一種で大麦の種子を潰してつくられます。このため、原料が小麦であるためグルテンを含んでおり、グルテンフリーの食生活を目指す方には不適合であるといえます。一方のもち麦は、大麦の種類のひとつであり、ねばりのある食感が特徴となっています。しかし、もち麦も大麦の一種であるため、押し麦同様にグルテンが含まれています。

次に、オーツ麦ともち麦の違いを見てみましょう。オーツ麦は一般的にはグルテンフリーとされていますが、実際にはグルテンを含む小麦と同じフィールドで生産されることが多く、その結果、グルテンが含まれることもあります。そのため、本当にグルテンフリーを目指す場合は、ラベルにグルテンフリーと明記されていることを確認しましょう。

ここで覚えておくべきは、すべての麦が同じではないことです。それぞれの麦には、異なる特性と含有する栄養素がありますので、それぞれの麦が身体にどのような影響を与えるのか理解することが重要です。では、どのような麦が適しているでしょう?この選択は、自身の健康に対する理解と、すべての麦が身体に与える影響の把握に依存しています。それらを理解することで、より賢明な選択ができるようになります。

以下では、さらに次のポイントについて解説します。

  • 4-1:押し麦ともち麦の違い
  • 4-2:オーツ麦ともち麦の違い

4-1:押し麦ともち麦の違い

それぞれの特性と違いについて見ていきましょう。まず、”押し麦”は、大麦の種子を圧力をかけて平らにし、乾燥させたものを指します。押し麦は大麦特有のほのかな甘さともちもちとした食感が特徴で、和食料理によく使用されます。一方、”もち麦”は、大麦の一種で、特徴的なもちもちとした食感からその名がついています。押し麦とは異なり、もち麦は炊き方により食感が大きく変わるのが特徴です。

ここが重要なポイントですが、もち麦と押し麦のもっとも大きな違いは、食物繊維の含有量とその形状にあります。もち麦は押し麦に比べて食物繊維の含有量が多いことで知られています。とくに、もち麦に含まれるβ-グルカンという食物繊維は、腸内環境の改善を助けることで名高いです。

次に、形状についてですが、押し麦は平らに押し伸ばされているのに対し、もち麦はそのままの形状を保っているという違いがあります。これにより、炊飯時の吸水量が異なり、それがもたらす食感の違いにつながっています。

こうした違いを踏まえて、パンづくりや料理に適した麦を選ぶことで、より健康的なグルテンフリーライフを楽しめます。

4-2:オーツ麦ともち麦の違い

オーツ麦ともち麦、これらふたつの穀物はグルテンフリーダイエットを遵守する方にとって、大いに関心が寄せられる事項です。オーツ麦ともち麦の最大の違いは、その起源と育つ環境です。オーツ麦はヨーロッパが母国で、寒冷地を好む特性があります。一方、もち麦は日本発祥の麦で、国内で古くから愛されています。

さて、栄養面での違いについて見ていきましょう。オーツ麦は「心の穀物」とも称され、その豊富な食物繊維とベータ-グルカンは、コレステロールの低下に寄与し、豊富なビタミンで肌や髪にもよいとされています。対してもち麦は、たんぱく質や食物繊維、ビタミンやミネラルが豊富で、とくに殻皮部に含まれる食物繊維は、便秘解消やダイエット、小腸の吸収を緩やかにする効果があります。

しかし、グルテンフリーダイエットを心がけるならば、ここでとくに注目すべきは、オーツ麦ともち麦のグルテン含有についてです。本来、オーツ麦自体はグルテンを含まず、グルテンフリーといえます。しかし、交差汚染(もしくは交差抗原性)という問題があり、ほかの穀物との混合によりグルテンを含む可能性があります。そのため、オーツ麦を含んだ食品を選ぶ際は、パッケージに「グルテンフリー」と明記されているものを選ぶなど、細心の注意が必要です。

一方、もち麦はグルテンを含む大麦の一種です。しかし、グルテン含有量が少なく身体にやさしいため、グルテン不耐症の方でも一部で食べられる場合がありますが、必ず医療専門家の指導のもとで摂取するようにしましょう。

以上を踏まえ、オーツ麦ともち麦、それぞれの特性を理解した上で、自身の体質やダイエットの目的に合わせて選ぶことが大切です。両者の違いを踏まえて、健康的なグルテンフリー生活を送りましょう。

5:グルテンを控えるグルテンフリー生活を始めてみよう

グルテンを控える生活スタイル、それはグルテンフリー生活です。グルテンフリー生活は、快適で健康的なライフスタイルを求める多くの方に選ばれています。具体的には、どのようなポイントを抑えればその第一歩を踏み出せるのでしょうか。

まず、食生活の中でグルテンが多く含まれる食品を避けることです。グルテンが豊富に含まれる食品として一般的には小麦、麦、ライ麦などがあります。

次に、代替食品を見つけることが大切です。たとえば小麦の代わりを果たすグルテンフリーの穀物として、タピオカ、キヌア、アマランサスなどがあります。同様に、麺類であれば、ごま麺や風味豊かなそうめんなどのグルテンフリーの麺類を選べます。

3点目は、食品のラベルをよく確認することです。多くの食品はパッケージに含まれる成分が表記されています。そこに「グルテンフリー」と表示されていれば、その食品はグルテンを含んでいません。ただし、グルテンフリーを謳っていても、その製造過程でグルテンを含む食品と交差した可能性があります。これを「交差汚染」といいます。そのため、アレルギーを引き起こす可能性がある方は、製造元の情報もよく確認することが大切です。

また、レストランやカフェでもグルテンフリーのメニューを提供しているところが増えています。一見、グルテンを含んでいそうなパスタですらも、グルテンフリーのパスタが存在しますので、グルテンを控えたいときでも、外食も楽しめます。

グルテンフリー生活は、健康的な生活スタイルのひとつとして広く認識されています。グルテンを控えることで、より快適な生活を送ることが可能になるでしょう。一歩一歩、自分のペースで始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

グルテンフリー生活やもち麦という食材について掘り下げてきました。もち麦は大麦の一種で、高い栄養価とともに食物繊維が豊富であることが、ダイエット効果に繋がっています。

一方でグルテンフリーは、食材そのものがもつグルテンという成分を控えることで、さまざまな身体の不調を解消し、健康的な生活を送ろうというものです。もち麦自体は無精製のためグルテンを含んでいないものの、製造過程での交差汚染に注意が必要です。

さらにもち麦とほかの麦との違いは、その製造過程や食物繊維の量、調理方法など、さまざまな面で異なります。それぞれがもつ特性を理解し、健康やダイエット目的に活用できることが必要です。

ここまで説明してきた内容を踏まえて、どのような食生活を送るか、より深く考えるきっかけにしていただければ幸いです。

グルテンフリー生活を送ることで体調や健康の改善が見込まれる一方で、もち麦など食材選びやその調理方法には注意が必要であるという点を今後の生活に活かしていただければと思います。