味噌は日本の伝統食ですが、ただの発酵食品ではありません。和食に欠かせない味噌は、健康にいい効果があるといわれています。今回は、味噌の健康効果と摂りすぎによる影響について解説します。

味噌とは

味噌は、昔から食べられている日本の伝統的な発酵食品です。大豆、塩、こうじを使い、発酵させて作ります。発酵過程で、大豆のタンパク質がアミノ酸に変わり、うま味のある味噌ができます。日本各地でいろいろな種類の味噌があり、家庭の味に必要な食品です。それぞれの家庭により使用する味噌が違うため、味噌汁は家庭の味と表現されます。

味噌の健康効果

大豆を使って作られる味噌には、たんぱく質や大豆イソフラボンなどの栄養素がたくさん含まれています。これらの栄養素は、私たちの身体をつくるために重要です。

以下では、味噌の健康効果について詳しく紹介します。

  • 腸内環境を整える
  • 乳がんを予防する
  • 美肌効果
  • アンチエイジング
  • 生活習慣病を予防する
  • 精神状態を整える

腸内環境を整える

多くの乳酸菌を含む味噌は、腸内環境を整えます。善玉菌である乳酸菌を摂ると、便秘の改善や免疫力向上につながります。とくに、食物繊維が豊富な海藻やキノコを具材にした味噌汁はおすすめです。食物繊維は善玉菌のエサになり、悪玉菌の生成を抑制します。乳酸菌はヨーグルトにも含まれますが、味噌は酸味もなく毎日でも取り入れやすい食材です。

乳がんを予防する

味噌にはイソフラボンが多く含まれています。ある研究では、イソフラボンを多く摂った女性の方が乳がんになりにくいという報告がされています。この結果の対象者は閉経後の女性です。閉経後の更年期を迎えた女性は、ホルモンバランスが崩れやすい特徴があります。イソフラボンはホルモンバランスを整える働きがあり、更年期の女性は積極的な摂取が必要です。また、味噌による胃がんの予防についても研究がされています。ただし、味噌を食べる時は、量に気をつけましょう。食べ過ぎは塩分の過剰摂取につながるので注意が必要です。

(参考文献:国立研究開発法人国立ガン研究センター 大豆・イソフラボン摂取と乳がん発生率との関係について

美肌効果

味噌には、肌をきれいにするビタミンやミネラルがたくさん含まれています。とくに抗酸化力があり「美肌ビタミン」といわれるビタミンEや、皮脂の分泌を抑制するビタミンB群が含まれています。また、腸内環境と肌状態は大きく関係しており、有害物質を作る悪玉菌が多いと吹き出物やニキビができやすいです。腸内環境と肌の調子を整える味噌は、美しい肌を保ちたい人におすすめの食材です。

アンチエイジング

味噌にはアンチエイジング効果があるといわれています。この理由は、抗酸化成分であるDDMPサポニンが含まれているからです。DDMPサポニンは、大豆に含まれている成分です。体内の余分な活性酸素を取り除き、細胞の老化を防ぐ役割を持ちます。味噌は、大豆をまるごと発酵させるためDDMPサポニンを無駄なく摂ることができる効率のいい食材です。また、味噌のもう一つのポイントは、代謝をよくする酵素が含まれていることです。美容と健康を意識する人は、味噌を積極的に食べましょう。

生活習慣病を予防する

味噌には生活習慣病を予防する効果があります。味噌にはサポニンやイソフラボンが含まれ、これらは悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにします。生活習慣病は予防が大切です。心臓病や動脈硬化、脳の病気だけでなく、メタボリックシンドロームの予防にも効果があると言われています。高血圧を防ぐため、味噌は食べ過ぎないようにしましょう。

精神状態を整える

最近の研究で、味噌が心の健康にいいことがわかりました。味噌に含まれる多くのビタミンB群は、神経の働きを助け、ストレスを減らします。また、味噌の腸内環境を整える働きも精神状態と関係しています。腸内が整うと幸せホルモンであるセロトニンがたくさん分泌されます。味噌は、腸を健康にして、心にもいい影響をもたらす食品です。健康な身体が健康な心を作るので、味噌を使った食事は、精神状態を保つのに役立つといえます。

味噌は健康に悪い?

味噌の健康効果を紹介してきましたが、悪影響はないのでしょうか。味噌汁を毎日飲む方も多いと思いますが、塩分量に問題はないのか気になります

以下では、味噌の健康への影響について詳しく紹介します。

  • 味噌の塩分は適量なら問題ない
  • 味噌汁で血圧は上がらない
  • 健康にいい味噌でも食べ過ぎには注意

味噌の塩分は適量なら問題ない

味噌の塩分濃度は一般的に10〜15%です。塩分が多いから健康に悪いと心配されることがありますが、味噌を大量に使わなければ問題ありません。高血圧を予防するには、1日6g未満の塩分摂取が求められます。味噌大さじ1杯あたりの塩分は約2.2gのため、心配するほど塩分は多くありません。毎食味噌汁を取ると塩分の摂取量が多くなるので、バランスが大切です。具材や出汁のうま味を加えると塩分を抑えることができます。

味噌汁で血圧は上がらない

味噌には塩が多く含まれているので心配かもしれませんが、味噌汁を毎日飲んでいても血圧は高くなりにくいという報告があります。また、脂質異常にもなりにくいという研究結果でした。しかし、1日2杯以上飲むと血圧が上がることが分かっています。飲み過ぎは逆効果なので、味噌汁に含まれる塩分量には気をつけないといけません。低塩分の味噌を使ったり、具材を工夫して塩分を控えめにするなど、味噌汁の塩分を考えて飲むことを心がけましょう。

健康にいい味噌でも食べ過ぎには注意

味噌は健康にいい食品ですが、食べ過ぎはよくありません。バランスよく適量を摂りましょう。たくさん食べたからといって健康効果が増えるわけではありません。毎日の摂取量を考え、塩分のバランスに気をつけましょう。

まとめ

味噌には、病気の予防や肌に嬉しい働きがあることがわかりました。塩分は多いですが、摂りすぎなければ身体への影響は少ないです。隠し味としても役立つ味噌は、万能な食材です。今まで以上に味噌を使った料理を献立にいれて、健康を意識した生活を送りましょう。