テレビや雑誌などで度々目にする3大栄養素ですが、どのような効果があるのかわからない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、3大栄養素の概要や体内へ及ぼす影響・豊富に含まれる食材などを詳しく紹介しています。本記事をご覧いただければ、これら栄養素が必要とされる理由がよくわかります。食生活に興味がある方・改善したいと思っている方は是非ご覧ください。

3大栄養素とは

3大栄養素とは、炭水化物・たんぱく質・脂質を指します。どれも体内に吸収することでエネルギー源となるものであり、人が生きていくのに欠かせない栄養素です。

炭水化物

ブドウ糖や果糖などの単糖から構成されているものを炭水化物と呼びます。構成している単糖の個数によって、単糖類・二糖類・小糖類・多糖類に分類されます。

炭水化物は、大きく「糖質」と「食物繊維」に分類され、糖質は主にエネルギー源として、食物繊維は腸内環境の調整などに役立ちます。

糖質

糖質はご飯・パン・麺類・芋類などから摂取できる栄養素であり、体内で吸収されエネルギー源となります。

糖質を摂ると体内で少量のグリコーゲンに変化し、肝臓や筋肉に蓄えられます。筋力トレーニングなどで体を動かす際、人の体はグリコーゲンからエネルギーを取り出します。グリコーゲンが足りていないとエネルギー切れを起こし、体が動かなくなってしまうため、日常的に体を動かす人は特に不足のないよう摂取する必要があります。

また、人の脳や神経系はブドウ糖を唯一の栄養源としています。ブドウ糖が不足すれば脳や神経への栄養が足りなくなり、判断力や注意力が低下します。脳だけで1日120gものブドウ糖を消費するといわれており、糖質がとても大切なものといえるでしょう。

そのほか、過剰に摂取した糖質は体内で中性脂肪に変化し、肥満や生活習慣病の原因となります。摂取のし過ぎには注意しましょう。

食物繊維

食物繊維は糖質と異なり、体内でほとんどが吸収されずエネルギー源とはなりません。その代わり、食物繊維は体のデトックス効果が期待できます。
食物繊維はその名のとおり繊維質であり、胃のなかでも分解されず繊維質のまま便と一緒に出てきます。腸内に溜まった便を取り込んで排出してくれるため、お通じの改善に役立ちます。

1日の摂取量の目安

炭水化物の1日あたりの推奨摂取量は、1日に摂る食事の50〜65%です。

成人であれば1日2,000kcalを食事から摂取するので、250〜325g程度の炭水化物の摂取が必要です。食事で概算すると以下のとおりです。

  • おにぎり 約6個
  • 食パン(6枚切り) 約9枚
  • マカロニスパゲッティ 約4束

なお、食物繊維の推奨摂取量は以下のとおりです。

  • 男性18〜64歳:21g以上/日
  • 女性18〜64歳:18g以上/日

目安量としては以下のようになります。

  • 切り干し大根生:10gあたり21.3g
  • モロヘイヤ茎葉生:100gあたり5.9g
  • ごぼう根生:180gあたり5.7g
  • ライ麦パン:6枚切60gあたり5.6g
  • いんげんまめ全粒ゆで:一食分40gあたり13.6g
  • きくらげ乾:10個5gあたり57.4g
  • 椎茸乾:大一個5gあたり46.7g

過不足のないよう摂取していきたいですね。

炭水化物が多く含まれる食品

糖質は以下のものに豊富に含まれます。

  • ご飯
  • パン
  • 麺類
  • 芋類
  • 果物

食物繊維は以下のものに豊富に含まれます。

  • 野菜
  • 海藻
  • きのこ類
  • 豆類(納豆など)

特に納豆は、水溶性と不溶性の両方の食物繊維がバランスよく含まれているため、積極的に摂取したいですね。

参考:

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tansuikabutsu.html

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html

たんぱく質

人の髪・爪・皮膚・内臓・筋肉などあらゆる部位の細胞を構成するのがたんぱく質です。たんぱく質は主に水素・炭素・窒素・酸素から構成されるアミノ酸が鎖状に多数連結してできた分子であり、たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あります。そのなかで体内で合成できず、食材などから摂取しなければならないアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれています。

必須アミノ酸には以下の効果があります。

  • 筋肉の維持・向上
  • 筋肉疲労の回復
  • 代謝の向上

たんぱく質は筋肉の維持や向上に欠かせません。筋肉に多く含まれているバリン・ロイシン・イソロイシンはBCAAとも呼ばれており、運動時のエネルギー源となります。たんぱく質は肉や魚などの食材から摂取できますが、近年ではたんぱく質を摂取するため、効率的にたんぱく質のみを摂取できるプロテインなどを使用するケースも増えてきています。

1日の摂取量の目安

  • 男性:12~14歳は60g/日、15~64歳は65g/日、65歳以上は60g/日
  • 女性:12~17歳は55g/日、18歳以上は50g/日

たんぱく質60gの目安量は以下のとおりです。

  • 皮付き鶏もも肉350g
  • 牛もも肉300g
  • 納豆10パック
  • 豆腐3丁
  • 牛乳2リットル
  • 卵10個

アミノ酸には、体内で合成できず食材から摂取しなければならない必須アミノ酸があります。

そして、食材のなかには必須アミノ酸すべてをバランスよく含んだものも存在し、これらのバランスのことをアミノ酸スコアと呼びます。この数値が100の食材はすべての必須アミノ酸を含んでいます。アミノ酸スコア100の食材のなかでも代表的なものは以下のとおりです。

  • 鶏卵
  • 牛乳
  • 大豆
  • 鶏肉・豚肉・牛肉
  • 鯵・鮭

これらを積極的に摂るようにしましょう。

たんぱく質が多く含まれる食品

  • 肉類
  • 魚介類
  • 大豆製品
  • 牛乳
  • 乳製品

上記が代表的なものになります。このなかでも前述したアミノ酸スコアが100の食材を積極的に摂取しましょう。また、料理する時間がないなどにより食材から摂取することが困難な場合は、前述したとおりプロテインなどを利用するのもおすすめです。

参考:

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html

脂質

脂質と聞くと、体を太らせるだけという印象を持つ方もいるのではないでしょうか。脂質はエネルギー切れを起こした人の体がエネルギー産生の最後の砦として取り込む非常に重要な栄養素であることに加え、ホルモン生成や細胞膜などの構成にも関わる栄養素の1つです。

そのほか、以下の特徴があります。

  • 皮下脂肪として体温の保持・内臓の保護
  • 脂溶性ビタミンの吸収を助ける
  • たんぱく質や糖質の約2倍のエネルギーを産生
  • 女性ホルモンのエストロゲンを作り出す
  • ホルモンや細胞膜・核膜を構成

脂肪には、体温を保持したり内臓を保護したりする役割があります。不足すると低体温や手足の冷えの原因となります。

また、脂質はたんぱく質や糖質よりも効率的にエネルギーを産生できるため、不足のないよう摂取したいです。

脂質を構成する脂肪酸には以下の二つに分けられます。

  • 飽和脂肪酸(肉や乳製品の油など常温で固体のもの)
  • 不飽和脂肪酸(植物や魚の油など常温で液体のもの)

上記のうち、不飽和脂肪酸にはさばやいわしなど背の青い魚(青魚)から摂取できるオメガ3脂肪酸(DHA・EPAなど)があります。またオメガ6脂肪酸(ごま油・リノール油などから摂取可能)もあり、これらは体内で合成できないため食事から摂取する必要があることから必須脂肪酸と呼ばれています。

また、青魚には血液をサラサラにする・血中中性脂肪やコレステロールを低下させて動脈硬化を予防する効果もあります。日々の食事にごま油や青魚を摂り入れていきましょう。

1日の摂取量の目安

脂質は男性女性ともに、年齢問わず1日の総摂取量の2〜3割を摂取することが推奨されています。働き盛り世代では、日々の生活のなかで男性は2,600kcal、女性は2,000kcalのエネルギー摂取が必要です。これらの2〜3割だと、以下のようになります。

  • 男性:520〜780kcal(脂質57.8〜86.7g)
  • 女性:400〜600kcal(脂質44.4〜66.7g)

脂質が1gあたり9kcal生み出すため、換算して上記量の摂取となります。参考までに、食品別の脂質必要量をご紹介します。

  • 豚バラ肉脂身付き生:100gあたり40.1g
  • まあじ皮付き生:160gあたり7.2g
  • 鶏卵:一個65gあたり6.6g
  • 牛乳成分無調整:コップ一杯200mlあたり7.6g
  • 木綿豆腐:1/3丁100gあたり4.9g

脂質は肉だけでなく魚や鶏卵・牛乳などにも含まれるため、飽きがこないように工夫して料理に取り入れたいですね。

脂質が多く含まれる食品

以下の食品に多く含まれます。

  • オリーブオイル・ごま油・サラダ油
  • バター
  • 牛肉・豚肉
  • 青魚(さば、いわし、さんまなど)

参考:

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shishitsu-shibousan.html

まとめ

3大栄養素はエネルギーを生み出す重要な栄養素です。現代社会は飽食の時代とも呼ばれており、一昔前のように飢餓で苦しむことは稀です。その反面、いつでもどこでも様々な食を味わえることから栄養バランスの乱れが問題になっています。

バランスの取れた食事をすることが必要であるため、3大栄養素を意識した食生活を送ることを意識しましょう。