健康志向が高まる現代では、食品の選び方や食生活の工夫が多様にあります。その中で「保健機能食品制度」について詳しく知ることで普段の生活から健康を意識することができます。保健機能食品制度を理解し、健康に役立つ食品を適切に選んで日常生活に取り入れてみましょう。この記事では、保健機能食品制度の基本情報やその歴史、分類について解説します。
目次
保健機能食品制度とは
保健機能食品制度とは、国が定めた基準を満たした食品に特別な表示を許可する制度です。この制度は、健康維持や栄養補給を目的とした食品を分類する表示基準です。この表示は消費者が適切な選択をする手助けをします。
保健機能食品制度は、特定保健用食品（トクホ）、栄養機能食品、機能性表示食品の3つに分類されます。特定保健用食品（トクホ）は、健康に対する特定の効果や安全性を国が審議を行い、消費者庁によって許可された食品です。栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなどの栄養素が一定の基準を満たし、その補給や栄養バランスの改善に役立つ食品です。機能性表示食品は、国の定めるルールに基づき企業が科学的根拠などの必要事項を販売前に消費者庁長官に届け出れば機能性を表示できます。特定保健用食品は国が審査するのに対し、機能性表示食品は企業がデータをまとめて消費者庁に届け出るという違いがあります。
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保健機能食品制度はいつから始まった？
保健機能食品制度は、1991年に厚生省（現・厚生労働省）が策定した「特定保健用食品制度」を皮切りに始まりました。この制度は、食品に含まれる成分が身体にどのように作用するのか、科学的な根拠に基づいて効果を保証するために策定されました。1991年に特定保健用食品制度が始まり、現在まで健康の維持や向上に役立てられています。さらに、2001年には「栄養機能食品制度」が追加され、2015年には「機能性表示食品制度」が拡充されました。これにより、保健機能食品制度の3つの分類が整備され、その結果、消費者がより具体的に自分の健康ニーズに応じた食品を選びやすくなりました。このように、保健機能食品制度は科学的根拠に基づく厳しい基準をクリアした食品を市場に流通させることで、消費者の健康維持や向上をサポートする制度として役立っています。
保健機能食品制度の3つの分類
保健機能食品制度は、3つに分類されます。それぞれの分類は消費者が安心して健康維持や食生活の状況に応じて食品の選択ができるよう、わかりやすくかつ適切な情報です。
以下では、保健機能食品制度の分類について解説していきます。
- 特定保健用食品(トクホ)
- 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)
- 特定保健用食品(規格基準型)
- 条件付き特定保健用食品
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
特定保健用食品(トクホ)
特定保健用食品（トクホ）は、特定の健康目的に役立つことが科学的に証明された食品です。日本の消費者庁が認定した食品だけが、特定保健用食品の表記を使用できます。トクホの認定を受けるためには、食品の安全性や有効性に関する厳しい審査を受ける必要があります。審査には、臨床試験などの科学的データの提出が必要です。特定保健用食品の効果には、消化を助けるものやコレステロールを低減するものなどがあり、日常的に取り入れることで、健康維持に役立つ食品が多くあります。
たとえば、腸内環境を整える特定保健用食品は、ビフィズス菌を含んだヨーグルトや乳酸菌を含むサプリメントなどです。特定保健用食品の特徴的なマークは、消費者に安全性と効果を保証するシンボルです。多くの人がスーパーやコンビニで、特定保健用食品のマークを見たことがあるでしょう。このマークがあることで、消費者は特定の健康効果が期待できる食品が一目でわかるようになり、自分に合った食品を選びやすくなります。
特定保健用食品
特定保健用食品（トクホ）は、消費者庁が定めた基準を満たし、特定の保健用途に役立つことが科学的に証明されている食品のことです。この基準をクリアした食品は、パッケージに「特定保健用食品」のマークを付けることができます。トクホの特徴は、国の審査を受け、許可を得ているという点です。特定の健康効果を期待できる旨の表示ができます。以下のような食品が挙げられます。
- 血圧を下げる効果がある食品
- 消化を助ける効果がある食品
- 血糖値の上昇を抑える食品
これらの食品は、特定の健康リスクを下げることを目指し、特定の栄養素や成分が含まれています。たとえば、難消化性デキストリンを含む飲料は、食後の血糖値の上昇を抑える効果が証明されています。特定保健用食品は、企業が製品の効果を消費者庁に申請し、国の厳しい審査を通過して認可される食品です。そのため、信頼性が高く、健康を意識する消費者にとっての選択肢となります。
特定保健用食品(疾病リスク低減表示)
特定保健用食品(疾病リスク低減表示)は、特定の疾病リスクを減らす効果が科学的に証明されている食品のことです。これは、医療効果に近い効果を持つ食品として位置づけられています。たとえば、カルシウムを多く含む食品は「骨粗鬆症のリスクを低減する」という表示ができます。消費者は、日常の食事にこうした食品を取り入れることで、特定の疾病リスクを減らせるでしょう。特定保健用食品(疾病リスク低減表示)の表示には医学的、栄養学的に効果が確立していることが必要です。日常的に摂取しやすく、手軽に健康リスクを低減するための有効な選択肢として注目されています。
特定保健用食品(規格基準型)
特定保健用食品(規格基準型)は、規格基準に適合することで、保健機能の効果を謳える食品です。特定保健用食品(規格基準型)は、特定保健用食品として許可されてきた実績が多い食品の場合に限り、特定の健康効果を表示できます。消費者庁が定める基準を満たさなければいけませんが、個別の審査はありません。たとえば、消化を助ける食品や、脂肪の吸収を抑える食品がこれに当たります。規格基準型の特定保健用食品は日常の健康維持に役立つ食品が多いです。製品ラベルには、具体的な効果や使用方法、摂取の目安が詳しく記載されているので確認しましょう。
条件付き特定保健用食品
条件付き特定保健用食品は、審査に必要な科学的根拠には届かないものの一定の有効性が確認された食品です。商品には、有効性が限定的である旨を記載しなければいけません。製品のパッケージや説明書に書かれているため、購入する際に確認しましょう。
栄養機能食品
栄養機能食品とは、ビタミンやミネラルなどの栄養素を補給するための食品です。この食品は特別な許可や届出が不要で、食品表示法に基づいて栄養素が表示されています。たとえば、ビタミンDが含まれる栄養機能食品には、「ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康維持に役立ちます」と表示されます。栄養機能食品のメリットは、手軽に必要な栄養素を補えることです。とくに、忙しい現代人にとって、日々の食事だけでは摂取しきれない栄養素を簡単に補える手段として役立ちます。栄養機能食品は、一般的な食品と同様に日常的に摂取できますが、過剰摂取や特定の栄養素の偏りには注意が必要です。バランスの取れた食生活を心がけ、適切に利用することが最も重要です。
機能性表示食品
機能性表示食品とは、企業が科学的根拠に基づいて、特定の機能性を表示できる食品のことです。この制度は、2015年に保健機能食品制度の一つとして導入されました。従来の特定保健用食品（トクホ）や栄養機能食品よりも、規制が緩和されています。機能性表示食品の最大の特徴は、企業が自ら科学的根拠を調査し、消費者庁に届け出ることで、特定の機能性を表示できることです。たとえば「腸内環境を整える」や「血圧を下げる」などの効果を表示することができます。消費者に具体的な健康効果を伝えるための情報が提供されるため、消費者は自分の健康ニーズに合った食品を選ぶことができます。科学的根拠としては、臨床試験や文献調査が用いられます。
しかし、企業は消費者庁に届け出る前に「消費者に誤解を与えない適正な表示」をしなければなりません。消費者庁が表示の適正を確認するわけではなく、企業の責任です。したがって、企業には透明性と誠実性が求められます。機能性表示食品は、健康を手軽に管理したい消費者にとって便利な選択肢です。選ぶ際には、科学的根拠として提供される情報をしっかりと確認することが大切です。
まとめ
保健機能食品制度についての基本情報を紹介しました。様々な食品で溢れている現代では、食品選びが重要です。保健機能食品制度は、科学的根拠に基づいて健康維持や促進をサポートする食品を分類しているため、その効果が期待できます。保健機能食品の特徴をそれぞれ理解して、健康的な生活を送るために上手に取り入れましょう。
