日本には、昔から伝わる発酵食品がたくさんあります。発酵食品とは、微生物の働きで食材の風味がよくなり、長期保存ができる食品です。うま味が増え、抗酸化作用もあるため、おいしく続けられる健康食品として、日本の食卓に欠かせない食べ物です。今回は、日本人の食生活に欠かせない発酵食品と、それを作る微生物について紹介します。発酵食品を取り入れて、健康にいい生活を送りましょう。

発酵食品の種類一覧

私たちの食卓は、発酵食品で溢れています。発酵食品はバリエーションが豊富なため、飽きずに毎日取り入れられます。

以下では、発酵食品を種類別に詳しく紹介します。

  • 豆類
  • 魚介類
  • 肉類
  • 乳製品
  • 野菜・果物
  • 穀類
  • その他

豆類の発酵食品

日本の食文化に欠かせない味噌、醤油、納豆は、発酵食品の代表的な存在です。大豆や麦に麹菌をつけ、長期発酵することで味噌や醤油ができます。納豆は、納豆菌を使用し発酵することで、独特の粘りがでます。それぞれに適した菌と発酵の過程を経て作られており、どれも和食に必要な食材です。

魚介類の発酵食品

魚から作る発酵食品には「なれずし」というものがあり、これは鮭や鯖を塩や米の麹で発酵させて作ります。また「しょっつる」「いしる」のような魚醤も、魚介を塩で発酵させてつくる調味料です。これらは独特の風味があり、伝統的な食文化の一部です

肉類の発酵食品

肉類の発酵食品には、生ハムやサラミがあります。発酵させることで、うま味成分であるグルタミン酸が大幅に増加し、肉のうま味を強く感じることができます。乳酸菌やビタミンを多く含む反面、塩分が多いので食べ過ぎには注意が必要です。

乳製品の発酵食品

乳製品の発酵食品といえば、ヨーグルトやチーズがあります。とくにヨーグルトには毎日の健康に役立つ乳酸菌がたくさん含まれており、お腹の調子を整えます。チーズにはたくさんの種類があり、それぞれ違う菌が使われています。乳製品の発酵食品は、カルシウムやタンパク質が豊富なため、積極的に取り入れましょう。

野菜・果物の発酵食品

野菜や果物を発酵して作る漬物は食物繊維が豊富なため、腸内環境を整える働きもあります。野菜の発酵食品は、日本だけでなく世界の食卓に欠かせません。韓国のキムチ、中国のザーサイ、ヨーロッパ生まれのピクルスなど多くの種類があります。

穀類の発酵食品

穀類の発酵食品では、日本酒や甘酒が有名です。どちらも米と米麹を使用しますが、酵母の使用の有無で、できあがる商品が違います。酵母を使用する日本酒はアルコール発酵しますが、甘酒は酵母を使用しないため、アルコールを一切含みません。アミノ酸が豊富な甘酒は、健康志向の方から人気がある発酵食品です。

その他

発酵食品には、コーヒーや紅茶も含みます。あまり発酵食品のイメージがありませんが、コーヒー豆や茶葉は発酵することで味に深みが増し、香りも楽しめる飲み物です。ほうじ茶、ウーロン茶、プーアル茶も茶葉を発酵しているため、発酵食品に分けられます。

発酵食品と微生物

発酵食品には、微生物の働きが大きく関係しています。同じ発酵食品であってもそれぞれ風味が違うのは、使用している微生物が違うからです

以下では、微生物について詳しく紹介します。

  • カビ
  • 酵母
  • 細菌

カビ

カビは、食品を腐敗させるイメージが強いですが、発酵にはカビが使用されています。発酵食品で使用される麹菌は、別名「麹カビ」と呼ばれています。麹カビは、米、麦、大豆などで培養し、酵素を作る重要なカビです。酵素の働きにより、発酵食品の素材のうま味や甘味が引き出されます

酵母の役割

酵母を使った食品は、とても身近にあります。酵母は、糖をアルコールと炭酸ガスに変える働きがある微生物のひとつです。酵母は発酵する過程で香り成分を作り、食品を膨らませる働きがあります。ビールやワインの風味や、パンが膨らむのは酵母の力によるものです。

細菌

細菌は、発酵食品を作るうえでとても大切です。カビや酵母よりも小さい細菌は、栄養を増やし、食品を長持ちさせる効果があります。細菌には、ヨーグルトに使用される乳酸菌や納豆菌があります。これらは、腸内細菌のバランスを整える重要な菌です。また、お酢に使用される酢酸菌は防腐や殺菌の働きがあるため、お寿司に使用されています。

珍しい発酵食品一覧

郷土料理のように、一部の地域でしか食べられていない珍しい発酵食品があります。また、発酵食品は日本だけではなく、世界でも食べられている人気の食品です

以下では、珍しい発酵食品について紹介します。

  • 日本の珍しい発酵食品
  • 世界の珍しい発酵食品

日本の珍しい発酵食品

「いぶりがっこ」は秋田県の発酵食品です。大根を乾燥させて、米ぬかと塩で漬け、燻製にします。漬物とは違う独特の香りがあり、今では日本全国に知られている発酵食品です。また、奈良県の特産品の「奈良漬」は、野菜や果物を塩と酒麹で漬けてから糠床で熟成させます。甘酸っぱい味が特徴ですが、アルコール分を含むので注意が必要です。奈良漬は、アルコール分を3.5%以上含むことが定められているため、運転前には食べないようにしましょう

世界の珍しい発酵食品

世界にもいろいろな発酵食品があります。ガーナの「スンバラ」は、ネレという木の種を発酵して作られる調味料です。強烈なにおいと酸味が特徴で、細かく刻んでご飯と混ぜて食べます。また、イギリスの「マーマイト」も日本では馴染のない発酵食品です。マーマイトは、ビールを作る酵母(酒粕)に塩と砂糖を加えて煮詰めたものです。塩味が強いですが、ビタミンBが豊富なためイギリスの国民食として生活に根付いています。国や文化の違いはありますが「おいしく保存がきく発酵食品」は世界で愛されていることがわかります。

まとめ

発酵食品は、大切な日本の食文化です。微生物の働きにより私たちの豊かな食生活は守られています。意識して発酵食品を取り入れ、健康的な生活を送りましょう。日本だけではなく、世界で愛されている発酵食品を、楽しみながら取り入れてみてください。