最近、オーツミルクが注目を浴びています。グルテンフリー生活を送る人にとって、「新しい選択肢」としてオーツミルクが選ばれることが多いです。しかし、オーツミルクは本当にグルテンフリー生活の選択肢として有効なのでしょうか。

その答えは、「はい、でもあり、いいえ、でもあります」です。なぜなら、オーツミルク自体はグルテンを含んでいませんが、製造過程でグルテンが混入する可能性があるからです。だからこそ、オーツミルクを選ぶ時には、グルテンフリー表示のあるものを選ぶことが大切です。

今回は、その理由を詳しく説明していきます。

1:オーツミルクとは?

オーツミルクは、オーツ麦を水で煮た後、ペースト状にし、濾すことで作られる植物性のミルクです。特に健康意識の高い方々に評価されていて、牛乳や豆乳の代替品として使われることが多いです。オーツミルクには、原材料であるオーツ麦に含まれる食物繊維やビタミンB1、飽和脂肪酸など、グルテンフリーの生活に必要な栄養素が豊富に含まれています。

注意すべき点として、原材料のオーツ麦にはグルテンが含まれていないものの、製造過程でグルテンが混入してしまう可能性があることです。以下では、オーツミルクの要点を詳しく解説していきます。

  • 1-1:オーツミルクの原材料、オーツ麦について
  • 1-2:オーツミルクの栄養価
  • 1-2:オーツミルクの健康効果

1-1:オーツミルクの原材料、オーツ麦について

オーツミルクは、オーツ麦(オートミール)から作られています。オーツ麦を水に浸し、搾り、そして濾す。こうして作られた植物由来のミルクがオーツミルクです。オーツミルクは、小麦とは異なり、オーツ麦を原材料としているので、基本的にはグルテンフリーと考えて問題ありません。オーツミルクは、消化に負担をかけずに、ビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素を豊富に含んでいるため、健康に良い飲み物と言えます。

ただ、オーツミルクが本当にグルテンフリーなのかを判断する際には、注意が必要です。グルテンフリー製品では、グルテン含有量が「20ppm以下」を遵守することが定められていますが、収穫・製造過程で、オーツ麦が小麦などと混同してしまう可能性があるからです。そのため、収穫や製造過程でも、行き届いた管理が大切になります。

オーツ麦の種類や栽培方法によっても小麦が混入する危険性があります。これらの要素を踏まえた上で、適切に処理されたオーツ麦からオーツミルクが作られているのであれば、グルテンフリーと断言することができ、安心してグルテンフリー生活を送ることができます。オーツミルクを選ぶ際には、ぜひこれらのポイントをチェックしてみてください。

オートミールを選ぶ際のポイントについては「オートミールはグルテンフリー!?選ぶポイントと注意点を徹底解説」で解説しています。あわせて読んでみてください。

1-2:オーツミルクの栄養価

オーツミルクは、主にオーツ麦から作られています。そのため、栄養価はオーツ麦に類似しています。主な栄養成分として、炭水化物、食物繊維、ビタミンB群、さらに鉄や亜鉛といったミネラルなどが含まれています。1カップ(約240 ml)のオーツミルクには、約130キロカロリー、3-4グラムの脂質、2-3グラムの食物繊維、4-5グラムのタンパク質が含まれており、非常にバランスの良い食品だと言えます。

特筆すべきはオーツミルクに豊富に含まれる食物繊維で、オーツ麦特有の食物繊維やベータグルカンはコレステロールを下げる効果があることが科学的に証明されています。この効果から、オーツミルクは心疾患リスクを抑えることができると考えられています。

オーツミルクに含まれている成分は、日本人の健康を維持するのに必要不可欠なものであり、グルテンフリーダイエットにおいても、栄養バランスを維持するのに重要な役割を果たしています。ただしこの点でも注意が必要です。オーツミルクの摂取は適量を守り、過度な摂取は避けましょう。

日本人にとってのグルテンフリーについては「グルテンフリーは日本人にとって意味がない?本来の目的から意味のある人ない人を解説」で解説しています。あわせて読んでみてください。

1-3:オーツミルクの健康効果

オーツミルクは、含有される多くの栄養成分から、様々な健康効果が見込まれます。特に「心臓病の予防」の効果が顕著です。オーツミルクには「ベータグルカン」という食物繊維が多く含まれているため、悪玉コレステロールの吸収を抑制することにより心臓病の予防効果が見込まれます。さらに、オーツミルクは低カロリーであり、食後の血糖値の急上昇を抑えるため、糖尿病の予防にも効果的です。また、オーツミルクに含まれる鉄分やビタミンB群は、皮膚や髪の状態を維持するうえで、重要な役割を担っています。これらの要素から、オーツミルクは健康や美容に対して多大な恩恵をもたらす飲み物と言えます。

グルテンフリーの美容への効果については「グルテンフリーが美容にいいってほんと?効果のメカニズムを徹底解説」で解説しています。あわせて読んでみてください。

2:オーツミルクでも注意が必要

オーツミルクはオーツ麦(エンバク)を原材料としています。オーツ麦自体にはグルテンは含まれていませんが、製造工程で微量ながら混入する可能性があります。これは、栽培から製造までの過程で、小麦をはじめとした、グルテンを含む穀物と混ざる可能性があるからです。この可能性が厳格にグルテンフリーダイエットを行っている方に影響を与える可能性があります。

完全なグルテンフリー生活を目指す方は、「グルテンフリー」のラベルがついたオーツミルクを選んでください。このラベルは厳しい基準をクリアした製品にのみ許可されています。しかし、このラベルがあるからといって、必ずしも完全なグルテンフリーを保証するものではありません。このラベルは、含有グルテンがある閾値以下(20ppm以下)であることを示しています。その値は国や地域によって異なるため、原産地を確認することも大切です。

グルテンを避けて、健康的な生活を目指す方は、製品選びには細心の注意が必要です。ご自身の体調やグルテンに対する反応を確認しつつ、適切なオーツミルクを選びましょう。

3:グルテンフリー生活の始め方

グルテンフリーの生活に興味がある方も多いと思います。では、具体的にどのように始めるのがいいのでしょうか。

まず、自分の食生活を見直してみて、どの食材にグルテンがどの程度含まれているのかを知ることです。これがグルテンフリー生活を始める上での第一歩となります。具体的には、パン、パスタ、ビスケットといった小麦製品には間違いなくグルテンが含まれています。さらに、ソースや調味料スープなどにもグルテンが含まれていることがあります。成分表示を再度見直してみて、自分の食生活の中にどれだけグルテンが含まれているのかを把握しましょう。

次に、グルテンフリーの食品を食事に取り入れていくことです。グルテンフリーのパンやパスタ、お菓子など、スーパーマーケットでもたくさんのグルテンフリー食品を見つけることができます。また、自宅で料理をする場合には、オーツミルクやアーモンドミルクなどの植物性ミルクを使うことで、グルテンフリーのレシピにすることができます。ただし、前述の通り、オーツミルクは、製造過程でグルテンが混入する可能性があるため、注意が必要です。

最後に、健康を維持するためにすべてのグルテンを排除する必要はありません。普段頻繁に使う食材を段階的にグルテンフリーのものに切り替えていくことで、徐々にグルテンを減らすことが現実的な選択です。グルテンフリー生活は、無理なく続けることが重要になります。

グルテンフリー食材の選び方については「グルテンフリー食材の選び方。食べていいものいけないもの」で解説しています。あわせて読んでみてください。

まとめ:”ゆる”グルテンフリー生活でより健康的な生活を

“ゆる”グルテンフリー生活を通じて、より健康的な生活を目指します。全てのグルテンを避ける必要がないことが、この生活の特徴です。”ゆる”グルテンフリー生活では、グルテンを含む食品を必要以上に制限する必要はなく、適度な摂取が可能です。

例えば、オーツミルクにはグルテンが混入している可能性があると説明しましたが、完全なグルテンフリー生活を目指しているわけでは無い、一般的な人であれば、この程度のグルテン摂取であれば許容範囲であり、大きな問題はありません。こうした柔軟な考えを持つことで、健康維持を目指しながらも、適度にグルテンを抑える生活を楽しむことが可能です。

オーツミルクはグルテン混入の可能性がある一方で、栄養価の高さが魅力な飲料です。したがって、“ゆる”グルテンフリー生活では、特定の食品を避けるのではなく、その食品が持つ栄養価を考慮しつつ、選択をするという生活スタイルといえます。

健康を保つためには、食生活のバランスが大切です。バランスを保ちつつ、楽しみながら可能な”ゆる”グルテンフリー生活を一度試してみてはいかがでしょうか。